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姿(すがた)
「益荒男振り」(ますらおぶり)とは、刀身(とうしん)の身幅(みはば)が広くて猪首鋒/猪切先(いくびきっさき)で、重ねが厚い体配(たいはい)のこと。
豪壮な姿と言うこともできるが、南北朝時代の太刀のように長大な物よりも、鎌倉時代中期頃の太刀をこのように表現することが多い。
「益荒男」(ますらお)は「大丈夫」とも書き、古文では「心身のすぐれた強い男子」を意味する言葉。「益荒男振り」(ますらおぶり)とは、そうした力強く立派な刀の体配を表わす言葉であり、具体的には、身幅が広く、猪首鋒/猪切先で、刀身に平肉がたっぷり付いた「ごつくて太い」姿である。
反意語として「手弱女振り」(たおやめぶり)があり、そちらは細身で優美な姿を指す。
また、益荒男振りは「万葉集」の歌風を表わす言葉としても使われる。
「大鋒に結んだ豪壮な体配」(おおきっさきにむすんだごうそうなたいはい)とは、鋒/切先(きっさき)が大きく、同じように体配(たいはい)も広く、立派な姿のこと。
「腰反り高く踏ん張りつき」(こしぞりたかくふんばりつき)とは、刀剣の中心よりも手元に反りの中心があり、元幅(もとはば)と先幅(さきはば)に差がある刀身(とうしん)の姿のこと。
「鎬地を削いで」(しのぎじをそいで)とは、「鎬地」(しのぎじ)を削いだ刀剣の造込み(つくりこみ)のこと。
鎬地を削ぐと、鎬(しのぎ)が高くなって、強靭になり、切込みしやすくなると言われる。
「鎬高い」(しのぎたかい)とは、鎬筋(しのぎすじ)が高く、断面がふっくらとしたダイヤ型に見える物。
大和国(やまとのくに:現在の奈良県)や、三原や二王など大和の寺院の荘園のあった土地の刀剣に見られる。
「鎬幅広めで鎬高い」(しのぎはばひろめでしのぎたかい)とは、「鎬地」(しのぎじ)と呼ばれる鎬(しのぎ)を挟んで棟側の部分が広く、鎬と呼ばれる刃と峰の間にある筋が山高くなっていることを指す。
鎬幅が広く鎬高い刀は、大和伝に多い。
「定寸に磨上げられ」(じょうすんにすりあげられ)とは、長い刀を定寸サイズに磨上げて短くすること。定寸は、2尺3寸5分(約70cm)。
大磨上・磨上問わず、このサイズの現存刀が多いのは、定寸とされていた影響である。
「姿優しく/手弱女振り」(すがたやさしく/たおやめぶり)とは、小鋒/小切先(こきっさき)、長寸細身で反りがゆるやかな体配のこと。
平安時代の太刀や、元禄年間(1688~1704年)に作られた元禄新刀を指す場合が多い。
「すすどしい」とは、鋭いこと。形容詞では「すすどい」、文語では「すすどしく」と表現される。
清麿などの刀でよく使われる表現。
「寸がつまる」(すんがつまる)とは、普通の刃長(はちょう)より短めなこと。
「反りが浅い」(そりがあさい)とは、刀身が弱く反っていること。明確な定義は存在しないが、一般に反りが0.9㎝以下であれば「反りが浅い」の他、「反りが弱い」、「反りが少ない」と表現される。
「反りが深い」(そりがふかい)とは、刀身が強く反っていること。明確な定義は存在しないが、一般に反りが2.1㎝以上であれば「反りが深い」の他、「反りが強い」、「反りが多い」と表現される。
「南北朝体配」(なんぼくちょうたいはい)とは、南北朝時代(1336~1392年)に流行した長大化した大きな太刀のこと。
薙ぎ払う仕様になっており、大きいので、背負ったり、肩に担いだり、従者に持ち運びさせた。
身幅(みはば)とは、刀の横幅。尋常とは、ごく普通なこと。
したがって、「身幅尋常」(みはばじんじょう)とは、刀の横幅が普通であり、常識的な長さということ。
「元先の幅差ややつき」(もとさきのはばさややつき)とは、元幅・先幅の略。元幅に比べて先幅が狭くなると、踏張りがあると言われ、優美な姿と見なされる。
平安時代~鎌倉時代にかけての日本刀に多い。「開き少なく」(ひらきすくなく)のほぼ逆の意味。
「元幅と先幅の開き少なく」(もとはばとさきはばのひらきすくなく)の元幅とは、柄(つか)に近い部分の刀身の太さのことで、先幅とは鋒/切先(きっさき)に近い部分の刀身の太さのこと。
元幅と先幅に開きがなければ、一般的には豪壮な刀を指すことが多い。
逆に鎌倉時代の太刀や、末備前の片手打ちなどは開きが大きい。
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