1582年(天正10年)5月17日、「備中高松城攻め」をしている羽柴秀吉から援軍要請の使いが来ると、織田信長は一気に片を付ける好機と踏んで、自らの出陣を決めます。このとき、「徳川家康」の饗応役(きょうおうやく:江戸にきた使者を接待する役職)を務めていた明智光秀にも、出陣の命を下しました。
同年6月1日、織田信長は「本能寺」に入り、嫡男の「織田信忠」(おだのぶただ)と共に多くの公家や僧侶を招いて茶会を開催していましたが、翌日の6月2日に本能寺の変が勃発。織田信長は家臣である明智光秀に襲撃され自害することとなります。
このとき、羽柴秀吉をはじめとする織田信長の家臣のほとんどは、全国各地に遠征しており、ごくわずかな兵しか残っていないという状況。織田信長を狙うには、絶好の機会だったのです。
備中高松城で戦っていた羽柴秀吉に、本能寺の変の報せが届いたのは、6月3日夜~4日未明のことでした。明智光秀が毛利氏に向けて送った密使を捕らえたことで判明します。羽柴秀吉は主君である織田信長が討たれたことを知ると、主君の仇・明智光秀を討つため、織田信長の死を伏せながら、備中高松城で応戦していた毛利氏との講和を取りまとめ、急遽、約20,000の軍勢を率いて、山崎へと向かったのです。
羽柴秀吉軍は、備中高松城から山崎まで約200kmの距離を、約10日間で踏破。その速さが尋常ではなかったことから、「中国大返し」と呼ばれています。この電光石火の戻りにより、明智光秀に戦いの準備をする時間を与えませんでした。
一方の明智光秀は、越後国(現在の新潟県)の上杉氏と戦っていた猛将「柴田勝家」の戻りを警戒し、居城の「坂本城」(現在の滋賀県大津市下阪本)や、織田家の本拠地「安土城」の制圧に注力していました。また、周辺の大名達に味方になるよう要請しますが、織田信長の首(証拠)が見つからなかったこと等を理由に断られます。このような状況の中、さらに予想を超える羽柴秀吉軍の進軍に、明智光秀は十分な態勢を整えることができないまま戦いに臨むこととなります。
羽柴秀吉軍は、総勢約40,000の大軍で、戦場を見下ろせる天王山の麓に布陣。
一方、明智軍は16,000の軍勢で「御坊塚」(おんぼうづか)に本陣を置きました。数では圧倒的に明智軍が不利な状況でしたが、織田軍で鉄砲の戦術に最も優れていた明智光秀は、大量の鉄砲を用意していました。
同年6月12日、羽柴秀吉と明智光秀の両軍は「円明寺川」(現在の小泉川)を挟んで陣を配置し、翌日13日の午後4時、雨が降りしきる中、ついに山崎の戦いが始まります。
開戦当初は一進一退の攻防が続きますが、羽柴秀吉軍の池田恒興、池田元助親子と加藤光泰らが、明智軍の左翼を受け持っていた津田信春の部隊を奇襲。津田部隊が壊滅すると、織田信長の宿老だった「丹羽長秀」らの部隊が一気に明智軍の本陣を攻撃しました。
この攻撃により、明智軍は総崩れ。士気の低下による脱兵も多く、16,000ほどいた明智軍は、最終的に700兵ほどになっていたと言われています。また、準備していた鉄砲も、雨が降っていたことから使うことができなかったのです。
明智光秀は、「勝竜寺城」(しょうりゅうじじょう:現在の京都府長岡京市)に一時退却したのち、本拠地・坂本城への脱出を目指します。しかし、小栗栖の藪(現在の京都府伏見区)で落ち武者狩りに合い、絶命したと伝えられています。明智光秀の首は、翌14日に羽柴秀吉のもとに届けられ、主君を討った謀反人として、京都の本能寺と粟田口でさらされ、明智家も滅亡しました。
この戦いに勝利した羽柴秀吉は、「清洲会議」で織田信長の後継者としての地位を確立し、天下人へ一歩前進することとなったのです。
所蔵刀剣ワールド財団
〔 東建コーポレーション 〕
明智光秀が最後の夜を過ごした勝竜寺城は、現在「勝竜寺城公園」となっています。
明智光秀が坂本城を目指して脱出したとされる北門には、当時の石垣が一部残存しています。
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所在地 | 〒618-0071 京都府乙訓郡大山崎町銭原1番地 |
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電話番号 | 075-956-0047 |
交通アクセス | 「山崎駅」下車 徒歩15分 |
営業時間 | 【境内】 終日 【本堂・閻魔堂】 9~16時 ※法要があるときは、その時間拝観を中止する場合有り。 |
休館日 | 無し |
駐車場 | 有り |
入場料 | 【境内】 無料 【本堂・閻魔堂】 一般 400円 高校・大学生 300円 小・中学生 200円 ※団体割引有り |
公式サイト | https://takaradera.net/ |
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