栗色がかった黒漆と、丸みのある顎(あご)の形に特徴がある実用的な「鉄黒漆塗猿頬」(てつくろうるしぬりさるぼお)です。
首を保護する垂(たれ/すが)は、鉄黒漆塗切付小札四段紺糸毛引威(てつくろうるしぬりきっつけこざねよんだんこんいとけびきおどし)とし、裾板(すそいた)は紐を「×」形に交差させた菱縫(ひしぬい)付きです。
左右には猪の目を模した猪目(いのめ)の透かしが施されるなど凝った作り込みとなっています。
一般的な数物の頬当ではなく、上級な具足に付属していたことが想像できる高級な頬当です。