当具足「鉄黒漆塗骨牌金繋畳具足」(てつくろうるしぬりかるたがねつなぎたたみぐそく)は、大名が家臣に貸し付けるために大量生産したとされる「御貸具足」(おかしぐそく)と同程度の一般下級武士用の具足です。
当具足は「畳具足」と呼ばれる兜や胴を折りたたむことで、持ち運びがしやすいように制作された具足。兜は鉄板部を青糸で縅し、頭頂部から吊るすように付けられた留め具を外すことで折りたたむことができる「提灯兜」(ちょうちんかぶと)と呼ばれる畳兜です。
胴も同様に、鎖や鋲留めを取り外し可能にすることで折りたたむことができ、1領を1枚の風呂敷に包むことができます。
畳具足は通常の「当世具足」と比べて軽量で、実用性に優れることから大量生産されていましたが、現在は特に下級武士用の畳具足が散逸しているため、特徴的な提灯兜のみが出回ることはありますが、兜や胴、佩楯、面頬などの1領揃った当具足は非常に珍しい作品です。