大筒
ひなわしきおおづつ まがねぎたえ かたいきょうすけ ぶんせいつちのとうしにがつひ 火縄式大筒 眞金鍛 片井京助 文政巳丑二月日/ホームメイト
火縄銃は、小型の物を「鉄砲」、大型の物を「大筒」と呼び分けることができます。本火縄銃は、「真金鍛 片井京助作」(まがねぎたえ かたいきょうすけさく)と、銘が切られた大筒です。
「真金鍛」とは、銅と亜鉛の合金製ということ。「黄銅」(おうどう)や「真鍮」(しんちゅう)とも呼ばれ、高度な精錬技術が必要なことから、たいへん高価とされました。
また、「片井京助」とは、松代藩(まつしろはん:現在の長野県長野市松代町)の御用鉄砲鍛冶で、「早打鉄砲」の考案者。のちに江戸に出て、兵学家「江川太郎左衛門」(えがわたろうざえもん)に入門して洋式砲術を学び、「元込め連発銃」を完成させるなど、幕末の銃器改良に貢献した人物です。
本火縄式大筒は、銃身(筒)には徳川家の家紋「葵紋」(あおいもん)の鋤彫、「つがいの鶴」が銀象嵌で描かれ、銃床(台木)には吉祥(きっしょう:この上なくめでたいこと)を表す「松」、「竹」、「梅」が山銅(やまがね)で施されているのが特徴。とても豪華な仕様であることから、徳川家へ献上するために作られたと思われる1挺です。