輸入古式西洋銃
てれー らいふるじゅう(いぎりす) テレー ライフル銃(イギリス)/ホームメイト
本銃は、1856年にイギリスのウィリアム・テリー(William Terry)が特許を取得した「ボルトアクション式」の小銃。「歩兵銃」、「砲兵銃」、「騎兵銃」の全長がそれぞれ異なる3種が作られ、本銃は歩兵銃に当たります。銃尾のレバーを起こして上に回すと、装弾装置の「遊底」(ゆうてい)を手前に引くことができ、遊底を引き出すと銃弾を込めるための装填孔が開く仕組みとなっています。
特許を得たウィリアム・テリーはバートラム・キャリッシャー(Bertram Calisher)とともに本銃を宣伝した結果、イギリス陸軍が第18騎兵連隊の装備に採用。民間にも広まっただけでなく、当時イギリスの植民地だったニュージーランドの警察なども導入し、アメリカ南北戦争でも、南軍が本銃を多数使用しました。しかし、1860年代以降に金属製薬莢が普及すると、紙製薬莢式である本銃は需要の変化に対応できず、1870年に生産終了を迎えたのです。
本銃は銃身に「壬申三〇三五長野」と刻印されます。これは明治政府が1872年(明治5年)に開始した銃砲の調査登録制度によるもので、本銃が登録時には長野県にあったことが分かります。幕末の信濃国(現在の長野県)にあった藩では、特に松代藩(現在の長野市)や上田藩(現在の上田市)などが西洋式の銃砲と軍制の導入に積極的だったとされます。