婚礼調度
未査定
しまづけじゅうろくくちぞろえ まきえ じゅうじもん 島津家16口揃 蒔絵 十字紋/ホームメイト
「嫁入り道具」は、結婚に際して嫁が婿の家へ持っていく生活道具のこと。なお、これは現代における呼び方です。正式には「婚礼調度」(こんれいちょうど)と言い、そのはじまりは寛永年間(1624~1645年)頃からと言われています。
1639年(寛永16年)、3代将軍「徳川家光」の長女「千代姫」が、2歳6ヵ月という年齢で尾張徳川家2代「徳川光友」に嫁いだ際の「初音蒔絵調度」(はつねまきえちょうど)通称「初音の調度」は、国宝にも指定されている有名な婚礼調度類。
江戸時代、将軍家や大名家などの格式が高い家では、現代のように本人や家族の同意だけでは結婚することができませんでした。結婚する場合は、幕府から婚約・結納・婚礼など、すべての許可を得る必要があったのです。身分が異なる者同士だけではなく、大名同士であっても私的な婚姻は禁じられていました。
格式の高い家で姫君が誕生すると、生まれた日から婚礼調度類の制作が始まります。黒漆塗(くろうるしぬり)や朱漆塗(しゅうるしぬり)を施し、その上に美しい模様や姫君の家紋などの蒔絵が描かれ、調度類の数は数十から数百種に及ぶこともありました。
本婚礼調度には、薩摩藩を治めていた「島津家」の家紋「丸に十文字」があしらわれています。丸に十文字は、化粧箱の引き手(取っ手)の金具や、手鏡の内側にも描かれており、意匠と状態のどちらも優れた調度類です。