陣羽織
江戸時代
ふせんちょうもんじんばおり 浮線蝶紋陣羽織/ホームメイト
本陣羽織の地に用いられているのは、「呉呂服連」(ごろふくれん)です。
呉呂服連は、アンゴラヤギやラクダなどの毛を使った梳毛糸(そもういと:羊毛などを梳いて短い物を取り除き、均一な長さの繊維の縮れを伸ばして、平行かつ一定方向に揃えた糸のこと)からなる薄地の毛織物で、安土桃山時代にオランダ船で輸入されました。
南蛮貿易によってもたらされ、当時の陣羽織の素材としてよく見かける「羅紗」(らしゃ:表面を起毛させた厚地の毛織物)に比べると、肌触りに少しざらつきがあるのが特徴。
また、背に朱で配されている紋章は、「浮線蝶紋」(ふせんちょうもん)と称される意匠。蝶の文様は、その優雅な印象から公家も多く用いていましたが、武家で代表的なのは平氏一門です。
本陣羽織の「浮線蝶」は、もとは「臥せ蝶/伏せ蝶」(ふせちょう)と呼ばれていました。蝶が羽を水平に伏せた様を、左右対称で平面的に表しており、備前国岡山藩(びぜんのくに・おかやまはん:現在の岡山県岡山市)藩主であった池田家などが、その家紋に使用しています。