目貫
未査定
ししず(いえぼり) めぬき 獅子図(家彫) 目貫/ホームメイト
本目貫の「獅子」は、ライオンのことを示しており、世界各地に様々な伝承が存在します。
例えば、アッシリア(現在のイラク北部)やインドでは、王や仏の守護動物として様式化された動物とみなされる一方で、中国の「西域伝」では、虎や豹をも食らうという竜が生んだ9匹の子「竜生九子」(りゅうせいきゅうし)の中の1匹「狻猊」(さんげい)として畏怖されてきました。
「狻猊」は、獅子に似ており、煙や火を好むと言われています。中国は、長江を境にして主に北側で見られる「北獅子」、南側で見られる「南獅子」に大別されるのが特徴。
北獅子は、厳めしく、やや頭でっかち。南獅子は、装飾性に富んでいるのが特徴と言われており、日本における「家彫」と「町彫」の違いに似ています。
なお、獅子が2頭一対で表現される場合、中国ではほとんどが左右とも口を開いた「阿・阿」(あ・あ)の姿です。一方で日本では、片方が口を開け、もう片方が閉じて、始まりと終わりを表す「阿・吽」(あ・うん)で表現されます。
「家彫」は、装剣金工一派「後藤派」の彫った刀装具の総称です。後藤家は、初代「後藤祐乗」(ごとうゆうじょう)からはじまり、足利家・徳川家と2つの将軍家に抱えられ、幕末時代まで17代続いた金工界きっての名門。
装剣金具の制作にあたった江戸時代以降、将軍・諸大名等が正装する場合には、伝統と格式を重んじた家彫、すなわち、後藤派が制作した金具で刀剣を飾るのが定例でした。