本太刀(たち)は、鎌倉時代後期に制作され、のちに「後水尾天皇」(ごみずのおてんのう)の御料(ごりょう:天皇の持ち物)となりました。拵(こしらえ)や金襴(きんらん:金糸や金箔を織り込んで柄を表した布地のこと) の袋は、後水尾天皇の時代に作られたと認められています。
本太刀の制作者は、大和国(現在の奈良県)吉野村龍門に居住した「千手院派」(せんじゅいんは)の流れを汲む刀工「延吉」(のぶよし)です。
本太刀は、刃長(はちょう)が73.3cm、反りが2.9cm、元幅が2.8cm。鎬造り(しのぎづくり)、庵棟(いおりむね:屋根の形に見える峰/棟[みね/むね])で、鎬(しのぎ)高く笠木(かさぎ)ごころに反りがあり、さらに踏張りもあるのが特徴となっています。姿が良く、地鉄(じがね)、刃の出来も穏やかです。延吉の手による作品のなかでも、最も優れていると評価されています。
本太刀は、1936年(昭和11年)9月18日に重要文化財指定となりました。国宝に指定されたのは、1953年(昭和28年)3月31日です。現在は、「公益財団法人日本美術刀剣保存協会」が所有。東京都墨田区にある「刀剣博物館」が所蔵しています。