本刀が、国の重要美術品指定を受けた当時、その所有者は、侯爵「池田仲博」(いけだなかひろ)氏でした。江戸幕府第15代将軍「徳川慶喜」(とくがわよしのぶ)公の5男であった仲博は、のちに池田侯爵家の婿養子となり、同家を相続、襲爵し、その14代当主となっています。
恒光は、古備前の中でも正恒(まさつね)の系統に属しており、平安時代末期頃より、「正恒」銘を切る刀工が数代続いていたと見られています。
本太刀には、「正安三年」(1301年)の年紀が入っており、作風も古調です。その姿は腰反り高く、小鋒/切先で優美であり、古備前が平安時代末期から鎌倉時代末期まで継続したことが立証される、とても貴重な1振だと言えます。