本薙刀は、鎌倉時代後期に備前国(現在の岡山県東部)で活躍した刀工「長船長光」が作刀しました。
刃長44.2cm 、反り1.7cm、茎長63.6cmとなっており、姿、作柄共に良く刃縁の冴える逸品。薙刀は、実戦用に制作された武器であるため、本薙刀のように保存状態が優れた作は非常に珍しく、史料としても貴重です。
本薙刀は、美作国(みまさかのくに:現在の岡山県北東部)津山藩主「津山松平家」に伝来し、のちに静岡県三島市にある「佐野美術館」へ寄贈されました。1937年(昭和12年)5月25日に重要文化財指定、1957年(昭和32年)2月19日に国宝指定され、現在も佐野美術館が所蔵しています。
制作者の長光は、「長船派」を代表する刀工です。長光が作刀した刀剣は、美しさと実用性をかねた傑作が多かったため、「織田信長」や「徳川家」などから愛され、重宝されました。