本槍は、「天下三名槍」(てんがさんそう)のひとつで、無銘(むめい)のため作者は不明ですが、大和国(現在の奈良県)金房(かなぼう/かなんぼう)一門作と伝わる大身槍(おおみやり)。もともとは御物(ぎょぶつ:皇室の所有物)で、「正三位」の位を授けられたという伝承があります。
豊臣秀吉が「日本号」(にほんごう/ひのもとごう)と名付け、家臣の福島正則(ふくしままさのり)に与えました。福島正則は酒豪でしたが、酒の席での失敗談が多いことで知られています。黒田家家臣の母里友信(もりとものぶ)が、福島正則に勧められた大酒を飲み干して、この槍を手に入れたという逸話が「筑前今様」として伝わったのが、有名な「黒田節」です。