本刀は、大坂新刀の双璧と称されていた「津田越前守助広」(つだえちぜんのかみすけひろ)と、「井上真改」による合作刀です。
助広39歳、真改45歳の頃に作られ、助広が召し抱えられていた青山家に伝来。その後、江戸時代中期~後期の武士であり、刀剣研究家「鎌田魚妙」(かまたなたえ)が有するところとなりました。魚妙の著書「新刀弁疑」(しんとうべんぎ)において本刀の完成度が称賛されて以来、世に広く知られている名刀です。
本刀の作柄は、小板目肌がよく詰んだ鍛えに、細かい地沸が厚く付き、刃文は、大互の目乱れに小湾れ(のたれ)が交じり、助広が創始した濤瀾風(とうらんふう)となっています。匂深く、総じて砂流しがかかり、鑢目は大筋違に化粧が付くなど、助広の特色がよく示されていることから、合作の際には助広が主導であったことが窺えるのです。助広と真改の合作は極めて珍しく、当時の大坂の状況や2人の関係性を研究するための資料としても、大変貴重な1振だと言えます。