本剣(つるぎ)は、鎌倉時代に制作されました。1633年(寛永10年)12月、「徳川家光」(とくがわいえみつ)の養女だった「大姫」が加賀藩(現在の石川県南部)3代藩主「前田光高」(まえだみつたか)のもとへ嫁いだ際に、本剣を持参したと伝えられています。前田光高と大姫が亡くなったあと、4代藩主となった「前田綱紀」(まえだつなのり)がその冥福を祈念して、1657年(明暦3年)に、本剣を「白山比咩神社」(しらやまひめじんじゃ:石川県白山市)へ奉納しました。
本剣を制作したのは、山城国(現在の京都府)「粟田口派」の刀工であり、短刀の名手としても知られる「吉光」(よしみつ)だと言われています。
本剣は、両鎬造り(りょうしのぎづくり)で小振りの形状となっており、サイズは刃長(はちょう)が22.9cm、元幅が2.2cmの大きさです。茎(なかご)は生ぶ(うぶ:作られたあとに手を加えられていない茎)で、鑢目(やすりめ)は浅い勝手下がり(峰/棟[みね/むね]の方へわずかに下がっている仕上がり)となっており、目釘(めくぎ)の下には銘も記されています。
1909年(明治42年)9月21日に旧国宝指定。1952年(昭和27年)3月29日には国宝指定となりました。現在は「石川県立美術館」(石川県金沢市)寄託となっており、白山比咩神社が所蔵しています。