本太刀は、茎(なかご)の目釘孔(めくぎあな)の上に「友成作」という三字銘が切られています。「友成」の銘を切る刀工は、平安時代中期から鎌倉時代初期にかけて数名が存在し、しかも年紀銘の入った作品がないことから、本太刀の制作者は明確には分かっていません。しかし、本太刀は地刃共に健全であり、出来栄えも非常に優れていることから、平安時代中期の「古備前派」(こびぜんは)(現在の岡山県南東部で繁栄)を代表する刀工「友成」(ともなり)の作品と考えられています。
また伝来についても、「平教経」(たいらののりつね)の佩刀(はいとう)で、「厳島神社」(広島県廿日市市)へ奉納されたとする一方、「平宗盛」(たいらのむねもり)が厳島神社へ奉納したという説もあります。
本太刀の大きさは、刃長(はちょう)が79.4cm、反りが3.0cm。鎬造り(しのぎづくり)、庵棟(いおりむね:屋根の形に見える峰/棟[みね/むね])で、鍛えは小板目肌(こいためはだ)に地沸(じにえ)微塵に付き乱映りが立ちます。刃文(はもん)は中直刃(なかすぐは)に小乱れ(こみだれ)小丁子(こちょうじ)交じり、足よく入り、また、腰反り高く踏張りのある姿が特徴的です。
1914年(大正3年)4月17日に重要文化財に指定され、1952年(昭和27年)11月22日には国宝に指定されました。現在も厳島神社が所蔵しており、名品展などのイベントが開催された際、一般にも公開されています。