江戸時代の土佐国(高知県)の刀工・吉行作の打刀 。吉行は陸奥国(東北地方東部)生まれで、その官職から、「陸奥守吉行」と呼ばれます。摂津国(せっつこく)大坂で修行し、土佐藩の鍛冶奉行として召し抱えられたことから、土佐藩士の刀を多く作刀。特に坂本龍馬の愛刀が有名です。
「陸奥守吉行」は、坂本家に伝わる家宝で、坂本龍馬は当主である兄より譲り受け、京都近江屋で暗殺された際にも携行していたと言われています。
坂本龍馬の遺族より、京都国立博物館に寄贈されましたが、この時代の刀にあるべき「反り」がないことや、吉行の特徴的な「拳形丁子」(こぶしがたちょうじ:拳のようにぼこぼこした形の刃文)と呼ばれる刃文がないことなどから、坂本龍馬が実際に佩用したものかどうか、長年疑問視されて来ました。
2016年(平成28年)、新たに資料が見つかり、火災に遭った際に反りを失い、研ぎ直されたために刃文が見えなくなっていたことが判明。京都国立博物館より、正式に坂本龍馬の愛刀であることが発表されました。