1940年(昭和15年)、朝香宮孚彦中佐(あさかのみやたかひこちゅうさ)が陸軍大学校卒業のおり、昭和天皇より贈られた恩賜の軍刀です。孚彦王は陸軍大学校卒業後、航空兵科に異動し、第51航空師団の参謀をつとめました。皇族で初めて飛行機の操縦桿を握って飛行した人として有名です。戦後は皇籍を離脱、東京大学で改めて航空工学を学ばれ、日本航空に就職されました。
恩賜刀の作者「池田靖光」は、水心子正秀の弟子で切れ味の凄さで有名な「池田一秀」を祖父にもつ刀匠です。通常の軍刀とは一線を画し、桜の文様がありません。唐草模様を金具すべてに刻み、目貫は天皇家の御下賜紋である「五三の桐」を使用。鞘は金色燦然と輝く金梨地です。無駄のない武人の持ち物らしくすっきりとした刀に仕上げられ、鎺には「恩賜」の二文字が刻まれています。