「九八式軍刀」(きゅうはちしきぐんとう)とは、1938年(昭和13年)に日本陸軍が制定した軍刀の俗称です。それまで主流だったサーベル(明治19年式軍刀)とは異なり、刀身が日本刀であることが特徴。1945年(昭和20年)の第二次世界大戦が終戦するまで、制作業者も種類も多く、相当な数が制作されました。
本軍刀は、新古境(しんこさかい)期によく見られる、平造りの脇差。地鉄(じがね)は板目流れで大肌交じり、地沸(じにえ)もつき、刃文は互の目(ぐのめ)に小丁子(こちょうじ)が交じり飛び焼きがかかっています。
経過によって銘が読めず、登録証には「銘不明」と記載されていますが、「村正」と判別できる刀。
附属する拵は、大東亜戦争開戦後に制作されており、状態は良好。駐爪(ストッパー)もしっかりはまって切羽・猿手も揃っています。