刀工の「正明」は、1814年(文化11年)作州津山(現在の岡山県)に誕生。のちに出府(しゅっぷ:地方から都へ出ること)して「細川正義」(ほそかわまさよし)門下に入り、津山10万石・越前松平家の藩工となり、江戸深川・森下町に住して鍛刀しました。
作柄は、師・正義に勝る、細川丁子と呼ばれる一文字風の大丁子乱れを焼いて人気を得ています。
本刀は鹿の角を断ち切り、鉄の板も切って、樫の棒も両断したと言われるほど、素晴らしく切れ味の良い正明の代表的最高傑作品です。明治維新を迎えてもなお失われなかった武士の意気込みが刀に表れた歴史を感じさせる名刀と言えます。