本刀は、伯耆国(ほうきのくに:現在の鳥取県)の刀匠「森脇要」(銘は森光、のちに正孝)の門弟「岡田正直」(おかだまさなお)が作刀した「菊水刀」(きくすいとう)です。
菊水刀とは、海軍の士官用軍刀で、銘に「菊水紋」(きくすいもん)が彫られているのが特徴。「菊水紋」とは、南北朝時代に活躍した武将「楠木正成」の家紋のこと。後醍醐天皇から下賜(かし)された菊紋と流水が組み合わされているのが特徴です。
旧日本海軍では、天皇に対して絶対の忠誠心と武勇を誓った正成を敬い、正成の精神を「楠公精神」(なんこうせいしん)とし、「日本精神」と同義であると教育。1940年(昭和15年)、楠本正成を主神とする湊川神社に、海軍士官のための鍛刀場を設立し、片時も楠公精神を忘れないようにと、海軍士官が持つ軍刀に菊水紋を施した、菊水刀を制作しました。