本刀を制作した「吉廣」は、1946年(昭和21年)、福岡県生まれ。久留米大学卒業後、1971年(昭和46年)、25歳のとき、人間国宝の「隅谷正峯」に入門。1977年(昭和52年)に独立するものの、技を極めるため、再び師匠に師事します。
その後、「新作名刀展」において、寒山賞・日本美術刀剣保存協会会長賞・文化庁長官賞などの特賞を連続で受賞。1996年(平成8年)、刀匠の最高位である無鑑査に認定され、備前伝「福岡一文字」の再現に挑戦し続ける名匠のひとりです。
本刀は、福岡一文字を再現して、最上の技量を示しています。地鉄(じがね)は小板目肌が精緻に詰み、しっとりとして潤い豊か。刃文は、互の目丁子(ぐのめちょうじ)に小丁子乱れを交えた変化を見せ、非常に明るく焼いています。その姿は、身幅広く、猪首切先(いくびきっさき)。
鎌倉時代を代表する造込みを表し、豪壮に仕上げて圧巻です。