本太刀の刀工「武蔵住吉原国家」とは、「3代目国家」(さんだいめくにいえ)のこと。
本名は「吉原荘二」で、祖父の「初代国家」に12歳のときに入門し、父「2代目国家」の死後、37歳という若さで日本美術刀剣保存協会が主催する新作名刀展(現・現代刀職展)にて無鑑査に認定され、「3代目国家」を襲名しました。
2003年(平成15年)公開の映画「ラストサムライ」に刀匠の役で出演し、2008年(平成20年)に東京都指定無形文化財(工芸技術)にも認定。現存する刀匠ではただひとりだけ、伊勢神宮の式年遷宮の宝剣制作に、60回(昭和48年)、61回(平成5年)、62回(平成25年)と3回も携わっています。
本太刀は、まるで鎌倉時代の備前国・福岡一文字を思わせる刃文、焼幅が広い華やかな重花丁子(じゅうかちょうじ)に足・葉(よう)が頻りに入り、吉原丁子と言われる丁子刃も美しく、変化に富んだ刀です。