本槍は、一般的な槍とは趣を異にした、最も原始的な形態を示しており、「印地槍」(いんじやり)の1種と考えられています。
印地槍とは、戦国時代の初期に、投擲(とうてき:投げること)武器として使用された槍のことです。
本来、槍は先端を鋭利にして、敵を刺殺することができれば十分であり、古代中国では、木の先端を削り、突き刺すのに用いられたことから、木偏(きへん)に、納めるという意味を持つ「倉」の字を加えて、槍という字が成立しました。つまり、木槍や竹槍が槍の起源となります。
本槍は、それを鉄に置き換えた武器で、大量生産しやすく、実戦での消耗においても、経済的負担が少ないことに主眼を置いた形状となっている実用的な槍です。