本槍は、「打根」(うちね)と称される武具の一種です。その姿は、鏃(やじり)のような形状をしていますが、元には羽根、そして先端には小型の槍が装着されていたことから、「槍」に分類されます。
打根を用いた「打根術」は、戦場で矢が尽きてしまった場合などに、弓に打根を結び付けて、槍のように用いる武芸。また、打根のみを相手に向かって投げ、小刀や手裏剣のように使われることもありました。
本槍は紐に繋がれており、敵に突き刺さったり、届かなかったりした場合に、すぐ手繰り寄せられるようになっているのです。
本槍のように刀身が30cmに満たない打根は、特に「打矢」(うちや)と呼ばれ、本槍は、南北朝時代の打矢に倣い、江戸時代に制作されたと考えられています。