板目肌に柾目が交じり流れる「大和伝」の手法を基調とする地鉄(じがね)が、本槍の特徴です。刃文は、直線的な直刃調(すぐはちょう)に小乱が走ります。
本槍は、穂の部分に付属している左右対称の鎌から「牛角十文字槍」(ぎゅうかくじゅうもんじやり)と言い、牛の角に似た形状です。
本槍は、「金房政次」(かなぼうまさつぐ)の作風を継承する刀工の後代による槍で、慶長年間(1596~1614年)に制作されたと見られます。金房政次は、「大和五派」である「手掻派」(てがいは)の刀工で、「五箇伝」の大和伝の流れを継いでいる名工です。