本刀は、古墳時代に作刀されたと考えられており、後世の日本刀とは類さないほど身幅が広く作刀されているのが特徴の直刀です。
腐蝕による刃の欠損があるため刃文は確認しにくくなっていますが、鍛えが良く、地景が頻りに入っている様子は、大和物や九州物の古刀の作風に共通していることが分かります。「平造り」(ひらづくり)と言う刀の表面を平に、断面が三角形になるように造込みがされている上古刀です。
刀剣が日本で作刀されるようになったのは古墳時代以降で、当初は両刃の剣が主流でしたが、両刃の剣は5世紀末には減少し、本刀のような直刀が作刀されるようになりました。刃長101cmもある長大な作品で、作刀工程でも重要な焼き入れ技術が発達した時期に作刀されたと考えられます。
古墳時代は本刀のように平造りの作品が多数を占めていますが、古墳時代末期から奈良時代にかけて造込みの技術が発達し、後世で主流となる「鎬造り」(しのぎづくり)のはしりである「両切刃造り」(もろきりはづくり)の刀が作刀されるようになりました。