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光世(みつよ)

「光世」は平安時代末期より、筑後国(現在の福岡県南部)を拠点として作刀に携った刀工です。現存する作例から、複数の刀工が同銘を用いて活動したことが分かっており、室町時代中期頃まで続きました。その銘振りには、光世もしくは「光世作」の2種類があります。

天下五剣」(てんがごけん)に数えられる名刀「大典太光世」(おおでんたみつよ/おおてんたみつよ)の作者は、「初代光世」。光世のを継ぐ代々の通称は、初代が「典太」、2代が「伝多」、3代が「伝田」というように、同音で「でんた」、もしくは「てんた」と読ませていますが、その表記は多岐に亘っています。

また、初代光世はのちに入道し、法名を「元真」としていますが、その正しい読みは不明であり、古くから「げんしん」という音読みが用いられているのです。古い刀剣書によれば初代光世は、承保年間(1074~1077年)に筑後国・三池(現在の福岡県大牟田市)を居住地としていたと伝えられています。初代光世が開祖となった刀工一門は、その居住地から「三池派」(みいけは)と称されていました。このため今日では、語呂の良さを重視して、初代光世を「三池典太光世」(みいけてんたみつよ)とも呼んでいます。

三池派の刀工達は、その作刀期間中、多くの名刀を世に送り出しました。先に挙げた大典太光世は初代が鍛刀し、加賀(現在の石川県)百万石を領する「前田家」が秘蔵していた名品です。また「徳川家康」が愛用し、のちに「久能山東照宮」(くのうざんとうしょうぐう:静岡市駿河区)に納められた「ソハヤノツルキウツスナリ/ソハヤノツルギウツスナリ」は、鎌倉時代に、光世が筑後国で鍛えた1振。

これは「切付銘」(きりつけめい:日本刀の作刀者ではなく、その所持者などが後世になってから切り付けた銘)のある作例ですが、世に多く現存する三池典太光世の作刀は、「大磨上」(おおすりあげ)の無銘品。無銘でありながら三池典太光世作と分かるのは、非常に幅の広い「」(ひ)が刀身に深く彫られており、さらにその樋が、「鋒/切先」(きっさき)から「」(なかご)まで、きれいに掻き通されていることによります。

このような樋があり、刃文が「中直刃」(なかすぐは)であることは、三池典太光世の分かりやすい特徴。鑑定会などでは、これらを手掛かりに同工の作であることを見極めるのです。

この他にも光世には、応安年間(1368~1375年)に筑後国で鍛刀した刀工もいます。「地鉄」(じがね)は「小板目」(こいため)に「小杢目」(こもくめ)が交じり、刃文は「小互の目」(こぐのめ)を採用。刃中の働きとしては「小足」(こあし)が入り、「小沸」(こにえ)が付いています。

さらに光世には、安芸国(現在の広島県西部)で日本刀を鍛造した刀工もおり、室町時代の初期から中期にかけて活動していたことが、現存刀から分かっているのです。「光世作」、「安芸国光世作」、「安芸之国住光世作」などの銘を切りました。これに加えて肥前国(現在の佐賀県、及び長崎県)にも、三池典太光世の正系から分派した一門の存在が分かっています。

同派は、室町時代中期に当たる応永年間(1394~1428年)頃に、筑後国から肥前国・大村(現在の長崎県大村市)に移住して来たことから始まっており、「肥州光世作」や「肥前国大村光世作」といった銘振りを用いていました。

光世(みつよ)が作刀した刀剣

  • 短刀 銘 光世作

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    短刀 銘 光世作
    短刀 銘 光世作
    光世作
    鑑定区分
    重要美術品
    刃長
    28.1
    所蔵・伝来
    刀剣ワールド財団
    〔 東建コーポレーション 〕
  • 大典太光世

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    大典太光世
    大典太光世
    光世作
    鑑定区分
    国宝
    刃長
    66
    所蔵・伝来
    足利家 →
    徳川家 →
    前田家 →
    公益財団法人前田育徳会
  • ソハヤノツルキ

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    ソハヤノツルキ
    ソハヤノツルキ
    妙純伝持
    ソハヤノツルキ/
    ウツスナリ
    鑑定区分
    重要文化財
    刃長
    69.6
    所蔵・伝来
    徳川家康 →
    久能山東照宮

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