刀剣アニメとは、刀剣などの武器が登場する冒険や戦いをテーマにしたアニメのことを言い、多くの人気作品が存在します。刀剣漫画や刀剣ゲームも同様です。日本のポップカルチャーである漫画やアニメ、ゲームは「クールジャパン」と称され、日本人は勿論のこと海外の人達からの関心が高い分野。一般的に、漫画やアニメ、ゲーム作品には、スポーツやファンタジー、恋愛や医療まで細かな分類がありますが、刀剣アニメはひとつのジャンルとして確立されています。刀剣アニメの設定も日本や海外、異世界など作品によって様々。こうした作品には、日本刀や作品独特の刀や剣が登場する物語も多数あり、また作品オリジナルの剣術流派がある点も楽しめます。「週刊少年ジャンプ」の作品を中心に、日本の剣や日本刀が登場する作品をいくつかご紹介していきましょう。
現在、若い女性を中心に人気を博しているのが、日本刀を擬人化したオンラインゲーム「刀剣乱舞」(とうけんらんぶ)。2015年(平成27年)の1月にサービスが開始されるや否や、登録者が殺到しサーバーが一時ダウンするなど、当初から大変な盛り上がりを見せていました。
刀剣乱舞は、日本中の名刀や名槍と呼ぶにふさわしい刀剣を、眉目秀麗な男性の姿に擬人化させて、歴史上の戦場を駆けめぐることができます。登場する刀剣は「天下五剣」の「三日月宗近」や、「天下三作」の「一期一振」などの名刀ばかり。彼らは「刀剣男士」と呼ばれ、豪華声優陣によるボイスが楽しめることもゲームの大きな特徴です。
ゲームの効果で、刀剣男士としてのキャラクターだけではなく、日本刀そのものに興味を抱く女性が急増。ゲーム中に登場する名刀を所蔵している博物館や美術館では問い合わせが殺到し、急遽、展示をするという現象が起きます。また、日本刀に関する書籍や雑誌も刀剣乱舞の人気に合わせて部数を伸ばすなど、社会現象を巻き起こしました。
現在はゲームだけに留まらず、アニメ化やミュージカル化、実写映画化も果たしています。
なかでもTVアニメ「刀剣乱舞 -花丸-」と続「刀剣乱舞 -花丸-」は、それぞれ2016年(平成28年)と2018年(平成30年)に公開されました。
「歴史修正主義者」による過去への攻撃を防ぐため、歴史を守る使命を与えられた「審神者」(さにわ)が、刀を使って刀剣男士らを生み出します。これらのアニメシリーズは、そんな刀剣男士らのひたむきに生きる様子と、ほのぼのとした日常生活の様子が楽しめる作品。新選組最強の剣豪とも言われていた「沖田総司」の刀剣「大和守安定」「加州清光」を中心に、多数の刀剣男士が登場します。
刀剣乱舞のアニメには「活劇 刀剣乱舞」もあり、こちらはシリアスなストーリーと戦闘シーンが多いのが特徴。「刀剣乱舞 -花丸-」とはテイストが異なります。登場キャラクターも限られていて、舞台は幕末。歴史を変えようとする「時間遡行軍」を倒すべく、「和泉守兼定」「堀川国広」などの刀剣男士が活躍します。
ゲームやアニメ、舞台、ミュージカルなど、媒体によって様々な楽しみ方ができる刀剣乱舞。今後も目が離せない作品です。
「鬼滅の刃」(きめつのやいば)は、「週刊少年ジャンプ」で連載されていた作品です。2019年(令和元年)のアニメ化を経て、累計発行部数が6,000万部を突破するなど人気の高さは折紙つき。さらにゲーム化もされており、子供から大人まで幅広い世代の心を掴んでいます。また、劇場版の公開や舞台化も予定されており、まだまだ目が離せない作品です。
物語は大正時代の日本が舞台。「鬼」と呼ばれる敵に家族を惨殺された主人公「竈門炭治郎」(かまどたんじろう)が、鬼への復讐のために修行を始めます。鬼に傷を負わされたものの、一命をとりとめた妹「竈門禰豆子」(かまどねずこ)は、傷口から鬼の血液が混入したことで鬼へと変貌。竈門禰豆子を人間に戻すためにも、竈門炭治郎は鬼の一族を討伐する「鬼殺隊」(きさつたい)へ入隊します。
この鬼と戦う唯一の武器として登場する日本刀が「日輪刀」(にちりんとう)です。日輪刀は、持ち主により刀身の形状や文様、刃文に違いがあり、これもキャラクターの味わいのひとつ。鬼滅の刃は、主人公・竈門炭治郎と妹、鬼殺隊で出会う仲間達と一緒に、戦いながら人として成長していくダークファンタジーです。
「ONE PIECE」は、1997年(平成9年)より週刊少年ジャンプにて連載されており、全世界で発行された漫画作品として最高記録である4億7,000万部を突破した作品です。話数や巻数も長期に亘り、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」(通称:こち亀)に次ぐ長寿作品となっています。
作品は、海賊となった少年「モンキー・D・ルフィ」を主人公とした「ひとつなぎの大秘宝」(ワンピース)を巡る海洋冒険物語。冒険と仲間達との友情をテーマに、笑いや感動のあるエピソードが描かれます。
作中に登場する剣豪で、主人公の仲間「ロロノア・ゾロ」が手にするのは、「和道一文字」(わどういちもんじ)という日本刀。刃文は直刃で、造りは「白塗鞘太刀拵」と非常に細かい設定となっています。
しかもロロノア・ゾロは、二刀流の上に、和道一文字を口で横に咥える「三刀流」という独自の戦闘スタイル。ロロノア・ゾロはもともと二刀流でしたが、三刀流となったのは事故で亡くなった幼馴染の少女「くいな」との約束があるからです。事故のあと、くいなが持っていた日本刀・和道一文字を譲り受け「世界一の剣豪になる」との生前からの約束を果たすことを誓いました。こうしてロロノア・ゾロは、二刀流から三刀流の使い手になりました。
霊が見える主人公「黒崎一護」(くろさきいちご)は、死神の少女「朽木ルキア」(くちきるきあ)と出会います。当初、死神の存在を信じなかった黒崎一護でしたが、人の魂を食べる「虚」(ホロウ:作中での悪霊)が家族に襲いかかる事件に直面。虚に立ち向かうなか、黒崎一護は朽木ルキアから死神の力を貰い、死神となって虚を撃退しました。このことをきっかけに、虚を退治する死神となり、仲間達と戦っていきます。
黒崎一護をはじめ、登場する死神達は日本刀にも似た「斬魄刀」(ざんぱくとう)を所持。斬魄刀は、実態のない虚を斬ることや、浄化する能力を持ち、虚を成仏させることができます。また、持ち主の霊力をもとにできており、形状や能力は持ち主によって千差万別。それぞれ固有名があり、刀剣でありながら意思を持っています。
そして、黒崎一護の斬魄刀は「斬月」(ざんげつ)と名付けられ、鍔のない直刀(大刀)の姿が特徴。また斬魄刀は、持ち主の霊力に応じて刀身を巨大化させることも可能で、力のある死神は斬魄刀のサイズを調整して、戦闘時と通常時に適した大きさに留めています。
「るろうに剣心」は、漫画家「和月伸宏」(わつきのぶひろ)による明治時代前期を舞台にした剣客物語。1994年(平成6年)から1999年(平成11年)に週刊少年ジャンプで連載され、アニメ化や実写映画化など、様々な形でメディアミックス化されています。少年漫画誌に歴史色の濃い内容は受けないと言われたなか爆発的な人気作となり、今なおその人気は衰えていません。
主人公の青年「緋村剣心」(ひむらけんしん)は、「廃刀令」の出された東京で日本刀を差して歩くという異色の存在。
しかもその日本刀は、刃が通常とは逆向きの棟側にある「逆刃刀」(さかばとう)でした。人を傷付けることのできない日本刀を、なぜわざわざ差しているのでしょうか。
実は、緋村剣心の正体は江戸時代末期の幕末に「人斬り抜刀斎」として恐れられた剣豪だったのです。多くの人を殺めてきたからこそ、明治維新後は「不殺」(ころさず)の誓いを立てて、全国を放浪していました。
作中には、「大久保利通」や「山県有朋」(やまがたありとも)、「新選組」の「斎藤一」(さいとうはじめ)など幕末の偉人達が登場するところも見どころです。洋装やガス灯など明治時代の情緒ある風景と、幕末の傷跡を残す人々との時代の対比もよく表現されています。
本作は、緋村剣心が物語の最初に出会う神谷道場の「神谷薫」(かみやかおる)らをはじめ、多くの登場人物達との出会いを重ねながら、生き方を模索していく物語です。
おそらく「ルパン三世」と聞いて、知らないと答える人は少ないでしょう。それほどに知名度が高く、また人気の高い作品です。1967年(昭和42年)から1969年(昭和44年)に「漫画アクション」に連載された、ギャグやコメディーを含んだアクション作品。本作は、連載が終了してから半世紀以上も経過していますが、アニメ化・実写映画化・ゲーム化もされるなど幅広い層からの人気を得ています。
主人公は、怪盗「アルセーヌ・ルパン」の孫「ルパン三世」で、職業は大泥棒です。お調子者ですが、高い知能と技術で狙った獲物は必ず手にする実力者。しかし、貧しい者からは決して盗むことはなく、悪どい商売をしている者からのみ奪うという義賊的な側面を持ち合わせています。
その仲間に、同じく大泥棒「石川五右衛門」(いしかわごえもん)を先祖に持つ、剣士の「石川五ェ門」(いしかわごえもん)が持つのが日本刀「斬鉄剣」(ざんてつけん)です。
鉄をも切断する強靭な日本刀として、作中に登場。その凄まじい斬れ味は、ビルを真っ二つにするなどの不可能を可能にしてしまいます。
しかし、これだけの斬れ味を持ちながら、なぜかこんにゃくだけは切れないのです。こうした設定も、漫画やアニメだからこそ表現できる日本刀の面白さ。
鍔や鞘、柄などの拵は整えず、常に白鞘の状態で使用しているのが特徴です。
「Fate/Grand Order」(フェイト/グランドオーダー)は、ゲームブランド「TYPE-MOON」(タイプムーン)によるゲーム作品で、本作は「Fateシリーズ」のひとつとして位置付けられたスマートフォン向けRPGです。
Fateシリーズとは、2004年(平成16年)に発売されたパソコンゲーム「Fate/stay night」からはじまり、「Fate/EXTRA」、「Fate/ZERO」、「Fate/Apocrypha」、「ロード・エルメロイII世の事件簿」など異なる無数のシリーズによって構成されています。それらは同じ並行世界を描いていますが、個々の独立した物語でもあるのです。
Fateシリーズの基本設定は、魔術師である7人の「マスター」が、それぞれ「サーヴァント」(使い魔)を召喚してペアとなり、「聖杯」をめぐる「聖杯戦争」を繰り広げます。サーヴァントには、7つのクラスがあり「セイバー」・「ランサー」・「アーチャー」・「ライダー」・「キャスター」・「アサシン」・「バーサーカー」といった役割を分担。このサーヴァントには、「アーサー王」や「メドューサ」、「佐々木小次郎」(ささきこじろう)などの歴史上の偉人達を、使い魔としてこの世に蘇らせます。
Fateシリーズのはじまり、Fate/stay nightでは、架空の町「冬木市」を舞台に、偶然セイバーを召喚してしまった、普通の高校生である主人公「衛宮士郎」(えみやしろう)が、他のマスター達との戦いに挑んで行く物語です。
このFateシリーズの集大成とも言えるのがFate/Grand Order。本作は、Fateシリーズの新作として2015年(平成27年)にリリースされ、瞬く間に人気作となりました。Fate/Grand Orderでは、「2017年に世界が滅びてしまうため、世界を救うために人類滅亡の原因とされる過去の特異点へ向かう」ことで、歴史を正しい流れに戻すべくマスターとなった主人公達が奮戦します。その過程で、サーヴァント達を仲間にしていくのです。
そのためサーヴァントにも、日本刀を扱うキャラクターが多数登場。前述した佐々木小次郎や、そのライバル「宮本武蔵」、「沖田総司」、「牛若丸」(源義経)など多岐にわたります。佐々木小次郎は、愛刀「物干し竿」を武器にし、宮本武蔵は自身が生み出した流派「二天一流」を技にするなど、歴史好きも唸らせる細かな設定の数々。そして沖田総司は「天然理心流」の奥義「三段突き」である「無明三段突き」(むみょうさんだんづき)をゲーム内で披露しています。また、宮本武蔵・沖田総司・牛若丸は女性として描かれているなど、史実とは違う設定も作品の魅力です。
こうした違いはFateシリーズ全体にも見られ、史実と絶妙に違うキャラクターとして作り上げることで、ゲームとしてより自由な展開を広げることを可能にしました。そして本作で新たなファンを夢中にさせつつ、Fateシリーズのキャラクターのほとんどが登場することも、昔からのファンを虜にする理由だと言えます。こうしたことが、Fate/Grand OrderがFateシリーズの集大成だと言われる理由です。