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神社仏閣を参拝した際に、その証しとして授与される「御朱印」(ごしゅいん)。昨今の日本史ブームとパワースポットブームが相乗効果を生み、収集する人達が急増しています。そんな中で、実際に御朱印巡りを行なっていても、そもそも御朱印とはいったいどんな物なのか、また、御朱印を拝受する際のマナーはどのようなことに気を付ければ良いのかなど、疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。御朱印の由緒や歴史についてご説明すると共に、御朱印巡りの実状についても解説します。

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御朱印の基礎知識

御朱印の歴史

御朱印

御朱印

現代の御朱印は、神社や寺院に参拝したことの証明としていただく印章ですが、もともとは、写経、もしくは読経を寺院に奉納した際にいただける受付印として用いられていました。

御朱印の存在が確認できるのは室町時代末期頃とされ、現代と同様に、「初穂料」(はつほりょう:寺院では納経料[のうきょうりょう]と呼ばれる)を納めることで御朱印を拝受できるようになったのは、江戸時代中期以降と言われています。

ただし、当時の日本では、神道と仏教が融合した「神仏習合」(しんぶつしゅうごう)が信仰の主流となっていたため、神社と寺院、どちらが起源となったのかは明らかになっていません。

戦のない太平の世となった江戸時代後期頃には、「伊勢神宮」(三重県伊勢市)への参拝や「西国三十三所」の巡礼など、信仰を目的とした旅行が庶民の間で流行。これを受けて、参拝に伺った日にちや場所などがより分かりやすくなるように、神社や寺院、神仏などの印章だけであった御朱印に、参拝日や寺社名などが墨書で添えられるようになりました。

そしてこのような様式の御朱印は、現代にまで受け継がれていきます。

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御朱印をいただく際の3つのマナー

旅行に出かけた際に神社や寺院に訪れる方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまでも寺社は、祈りを捧げることで神様や仏様とのご縁を結ぶ神聖な場所。そのため、御朱印をいただく際には、参拝するときの作法のように、守るべきマナーがいくつかあります。

その①:必ず初めに参拝する
参拝

参拝

御朱印は、参拝の証しとして授与される印章であり、御朱印集めは思い出の記念を残すスタンプラリーではありません。

そのため、御朱印をいただける社務所(授与所とも呼ばれる:寺院の場合は寺務所/納経所)へ真っ先に向かうのではなく、本殿や本堂で参拝し、神様や仏様へのご挨拶を済ませるようにしましょう。

ただし、寺社によっては混雑を避けるために、先に御朱印帳を預けて参拝し、そのあとで受け取る方式を採っているところもあります。

その②:御朱印帳は開いてからお渡しする
御朱印帳をお渡しする際には、書いてほしいページを開いてお渡しします。このとき、御朱印帳にカバーを被せている場合には、ボタンの留め具などが引っ掛かって書き損じの原因となるため、外しておきます。

また、寺社において御朱印は、「神様や仏様の分身」であると考えられていることから、御朱印帳に写真や記念スタンプなどがあると、御朱印の授与をお断りされることもあるので注意しておくことが大切です。

その③:初穂料はなるべく小銭で
御朱印を拝受する際に納める初穂料、もしくは納経料は、300~500円ぐらいが一般的。そのため、できるだけお釣りが出ないようしましょう。

これは、対応していただく方の手を煩わせないようにする、ということも理由のひとつですが、何よりもお釣りとしていただくお金は、他の参拝者が心を込めて納めた初穂料などの中から渡されることになるため、本来寺社では、お釣りが出るような納め方はマナー違反とされているのです。

こう言ったことから、神社や寺院へ参拝に訪れるときには、多めに小銭を用意しておくと安心です。

御朱印ブームの陰に御朱印ガールあり!

現代の日本でじわじわとブームになっている御朱印巡り。そのきっかけのひとつであると考えられているのが、2000年代に入ってから盛り上がりを見せた「パワースポット」ブームです。全国各地の神社仏閣がパワースポットであると見なされるようになったことで多くの参拝客が訪れ、御朱印の存在が広く知れ渡るようになりました。

そして御朱印は、厳密に言えば寺社でいただける「お守り」とは異なりますが、自身の運気を上げたいと願って、御朱印を集める人達が続出したのです。

御朱印巡りは、年代や性別を問わず人気がありますが、その中でも、この「御朱印ブーム」を牽引(けんいん)しているのが、「御朱印ガール」と呼ばれる若い女性達。「歴女」や「刀剣女子」といった言葉が示す通り、近年の日本では、様々なジャンルで若い女性がブームの中心になることが多く、それは、御朱印においても例外ではありませんでした。

それでは御朱印ガール達にとって御朱印には、いったいどのような魅力があるのでしょうか。

御朱印の魅力その①:お気に入りの御朱印帳を使える

御朱印帳

御朱印帳

御朱印集めを始める大前提として、準備しなければならないのが御朱印帳。

それぞれの寺社独自の御朱印帳を用意しているところも多く、例えば、「神皇産霊神」(たかみむすびのかみ)を祭神として祀っていることから、「むすびの神社」として知られる「高木神社」(東京都墨田区)では、「おむすび」をモチーフにした御朱印帳があります。

このように、寺社の御朱印帳でありながら、可愛らしいデザインが施されているのは、やはり御朱印ガールの増加が背景となっているのです。

御朱印帳は寺社の他にも、文房具店や雑貨店などでも購入でき、アニメや漫画のキャラクターが表紙になった物などもあり、その種類は様々。さらには、自分で手作りする御朱印ガールもおり、制作キットなども販売されています。

御朱印の魅力その②:旅をしながら開運・癒しの効果を得られる!?

御朱印ガールの特徴のひとつが、もともと旅行好きであった女性が多いこと。全国各地の寺社を巡る必要がある御朱印集めは、旅行を趣味としている女性達にとって、うってつけの活動なのです。

旅行の目的は人それぞれに異なりますが、日常から離れて日々のストレスから解放されたい人も多いはず。御朱印をいただくために旅先の寺社を訪れ、神様や仏様に参拝することで心が穏やかになり、癒された気分になることも御朱印集めの大きな魅力だと言えます。

さらには参拝の証しであり、神様や仏様の分身でもある御朱印は、神仏と自身とのあいだにご縁が生まれた印です。そのため、御朱印に開運の効果があると考え、御朱印集めに励む御朱印ガールもいます。

どのようなことを「開運」と捉えるかは人によって違いますが、御朱印が押印されている御朱印帳を見返すことで、神仏が守って下さっていることを実感し、自身の願いや目標を再認識して行動できるため、それが開運に繋がると考える御朱印ガールが多いのかもしれません。

御朱印ガールに人気の寺社3選

御朱印ガールに人気のある神社や寺院は、御朱印帳や御朱印が可愛くて個性的、季節や記念日ごとにいただける御朱印が異なる、という2つの条件を満たしているところが多く見られます。

ここからは、全国各地に点在するそんな神社の中から、3社を厳選してご紹介します。

別小江神社

別小江神社

別小江神社

カラフルな御朱印で有名な「別小江神社」(わけおえじんじゃ:愛知県名古屋市北区)では、例えば7月には夏祭り、そして七夕の前後には織姫と彦星があしらわれた御朱印など、月ごと、あるいは行事や神事ごとに、添えられるイラストの意匠が変わります。

また、誕生月には「お誕生日御朱印」も用意されているため、多くの御朱印ガールが、毎年あるいは毎月通う神社です。

気象神社

気象神社

気象神社

「高円寺氷川神社」(こうえんじひかわじんじゃ:東京都杉並区)の境内社として知られる「気象神社」(きしょうじんじゃ)は、日本で唯一「お天気の神様」が祀られている神社。

元来、気象予報士試験の合格祈願や快晴祈願のために参拝に来る人がほとんどでしたが、2019年(令和元年)に公開されたアニメ映画「天気の子」に登場したことにより、より多くの若者が気象神社に訪れるようになりました。

そんな同社における御朱印の特徴は、御朱印と共に、その日のお天気を表すスタンプが押印されること。映画のヒットとそのお天気スタンプの可愛さが相まって、御朱印ガールに人気の高い神社です。

栖足寺

別名「河童の寺」とも呼ばれる「栖足寺」(せいそくじ:静岡県河津町)では通常、河童(かっぱ)の意匠が配された御朱印と御朱印帳が授与されています。これは、いたずら好きの河童が村人に捕まりそうになり、栖足寺の井戸に逃げ込んだところを同寺の和尚さんが助けたと伝わる昔話がその所以(ゆえん)です。

また、同寺が鎮座する静岡県河津町は、早咲きの「河津桜」(かわづざくら)の名所であり、その開花の時期に合わせて、毎年2月上旬から3月上旬頃まで「河津桜まつり」を開催。

栖足寺では、2020年(令和2年)に行なわれた30回目の河津桜まつりの期間限定で、桜と河童が一緒に描かれた御朱印帳と御朱印が拝受。昔話に登場する甕(かめ)の意匠も配されており、可愛い物好きな御朱印ガール達のあいだで評判となりました。

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