昨今の刀剣ブームで、刀に興味を持つ人は年々増加傾向にあり、イラストレーターにとっても細身で独特の曲線を描く日本刀は、人物を引き立てる要素のひとつになるため、刀のイラストを上手に描けるようになりたいと思う人は少なくありません。刀のイラストを描く際の基本的な手順やコツとは?画像編集ソフトウェア「Photoshop」(フォトショップ)を使った「刀イラストの描き方」や、刀イラストを描く際のコツをご紹介します。
パソコンを使用して刀イラストを描く場合、「画像編集ソフトウェア」を使用するのが一般的です。現在は、様々なメーカーが多様な機能を搭載した画像編集ソフトウェアを販売していますが、使いやすいソフトウェアは人によって千差万別。
また、画像編集ソフトウェアには、すべての機能を使用することが可能な「有償版」と、一部の機能を制限した「体験版」や「無償版」と呼ばれる2タイプがあります。どの編集ソフトを使ったらいいのか分からない場合は、はじめに無償版で使い勝手を確かめてみるのがおすすめです。
こちらでは、「Photoshop CC」と呼ばれる有償版のソフトウェアを使用した場合の刀イラスト制作過程をご紹介していきます。
パソコンで刀イラストを描く場合、マウスを使用して描くこともできますが「ペンタブレット」、通称「ペンタブ」を使用すると精密に線が引けたり、細かい部分を描写したりすることが可能です。メーカーによって機能や描き心地は異なりますが、「Wacom」の「Intuos」は初心者でも使用しやすいペンタブとして知られています。
イラストレーターの作業環境において、使用するモニターが2つ以上になるのは一般的なことです。「刀剣ワールド」所属のイラストレーターの作業環境は以下になります。
ペンタブのサイズは、モニターサイズに合わせると作業がしやすくなります。
例:モニターが15インチ以下ならペンタブのサイズは「S」、モニターが15~24インチならペンタブのサイズは「M」 、モニターが24インチ以上ならペンタブのサイズは「L」
また、筆圧レベルが高いペンタブであれば、より精密に刀イラストを制作できます。
刀のイラストを描く場合、はじめに行うのが資料収集です。資料となる刀の実物写真をweb上で画像検索したり、本などから画像をスキャンしたりして自身の作業用パソコンへ保存し、画像編集ソフトウェアへ取り込みます。
刀のイラスト以外にも画像編集ソフトウェアでイラストを制作する場合は、見本となる画像を作業する画面へ同時に表示することでイラストのクオリティを大幅に上げることが可能です。資料を並べて表示する描画技法は、プロの現場でも行われています。
刀のイラストを描く手順は様々。Photoshopを使用した際の作業前の設定や、各作業におけるポイント・コツなどをご紹介します。
①レイヤーの設定 | |
---|---|
|
②下地の準備 | |
---|---|
|
⑤棟を描く | |
---|---|
棟を描いたら「棟」レイヤーに「クリッピングマスク」をかける |
⑦鋒/切先を描く | |
---|---|
鋒/切先を描いたら「鋒/切先」レイヤーに「クリッピングマスク」をかける |
⑧刃文を描く | |
---|---|
刃文を描いたら「刃文」レイヤーに「クリッピングマスク」をかける |
⑨影、ハイライト、刃を描く | |
---|---|
描けたらそれぞれのレイヤーに「クリッピングマスク」をかける |
⑪茎を加工する | |
---|---|
加工したらレイヤーに「クリッピングマスク」をかける |
⑫色味の調整 | |
---|---|
|
⑬細部の加工 | |
---|---|
|
⑭完成 | |
---|---|
刀は、一見どれも同じ形状、模様に見えますが、真剣はどれも刀工が手作業で作刀しているため、ひとつとして同じデザインは存在しません。そのため、刀の刃文や映り(うつり:光を反射させたとき、刃文と鎬筋の間にぼんやり白く影のように見える働き)、沸(にえ:刃文に現われる、肉眼で確認できる粒子)などを描き込む場合は、それぞれにどのような種類や特徴があるのかを十分に理解する必要があります。
また、その特徴を描く際は差が分かりやすいように少し誇張することもコツのひとつ。反対に、特徴が分かりづらいからと言って刃文などをぼかすと手抜きに見えてしまうため、刀の細部を描く際は実際の刀を見て観察するか、解像度の高い刀の写真を拡大して見るなどして正確に描写することが重要です。