アクションRPG【DARK SOULS】(2011年〔フロム・ソフトウェア〕)。10種類の素性(兵士・騎士など)から1人を選択・操作し、刀剣や魔法を駆使してモンスター討伐を目指す。イギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)の歴史あるゲーム賞Golden Joystick Awardsの2021でUltimate Game of All Timeを受賞。
(■海外発の家庭用ゲーム機版と同時期発売)
新たな三大家庭用ゲーム機の時代を迎えた2000年代初頭、国産の家庭用ゲームでは北米への志向が急速に高まります。国産の家庭用ゲーム機用と同時に海外発の家庭用ゲーム機用にも同時にソフトが発売されます。そんな時代の刀剣が登場する家庭用ゲームは、アクションゲームが優勢となり、なかでもダークファンタジー的な世界観が人気となります。
2000年初頭、国内の三大家庭用ゲーム機メーカー(任天堂・セガ・ソニー)から1社(セガ)が家庭用ゲーム市場からの撤退を発表します(2001年1月)。その翌年、海外発の家庭用ゲーム機(Xbox)が日本市場に参入し(2002年2月)、新時代を迎えました。
こうした時期、ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)がPlayStation2の後継機を発表します。PlayStation3、通称プレステ3です(2006年11月13日発売。価格39,980円)。
CPU(中央処理装置)は演算処理能力64ビット+独自開発の演算処理ユニット128ビットで、これまでの東芝との共同開発に新たにIBMも加わりました。
画像出力は最大1920×1080ピクセルの高解像度対応、HDMI(高精細度マルチメディアインターフェース)端子を搭載し、映像出力は高精細の1080p、サウンドは最新の立体音響7.1chに対応。DVDの次世代規格Blu-ray Discを搭載しました。
他に端子は、USBと有線ローカルエリアネットワークテクノロジー(イーサネット)を内蔵。Wi-Fi、Bluetoothのワイヤレス通信にも対応しました。
Bluetooth対応によって、ワイヤレス通信接続によるプレステ3専用コントローラが開発されます(SIXAXIS機能。のち振動機能が追加されDUALSHOCK 3に)。
この6軸検出コントローラでは、姿勢3軸(左右傾き・前後傾き・左右振り)に加えてコントローラ自体の3軸(XYZ)加速度がリアルタイムに反映されます。結果、コントローラがプレイヤーの体の一部になったような感覚を可能にしました。
本体発売の翌年に発表されたアクションアドベンチャーゲーム【FolksSoul -失われた伝承-】(2007年〔ゲームリパブリック〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)では、6軸検出コントローラが駆使されます。敵であるモンスターの体から魂を、まるでフィッシングゲームのように、コントローラ全体を動かしながら引きずり出すゲーム仕様でした。
また、プレステ3の発売と同時にオンラインストア「PLAYSTATION Store」もスタート。パッケージ版(店頭販売)だけではなくダウンロード版の販売も始まるなど、時代はオンライン志向へ急速に向かっていました。
本体発売の翌年、刀剣が登場する本機オリジナルの作品が増加します。
戦略シミュレーションゲーム【MIST OF CHAOS】(2007年〔アイディアファクトリー〕)、部隊アクション【BLADESTORM 百年戦争】 (2007年〔オメガフォース/コーエー〕)、リーディングRPG【アガレスト戦記】 (2007年〔アイディアファクトリー〕〔レッド・エンタテインメント〕〔コンパイルハート〕開発・〔コンパイルハート〕発売)、ファンタジーRPG【白騎士物語 -古の鼓動-】 (2008年〔レベルファイブ〕〔SCEジャパンスタジオ〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)などです。
刀剣が登場する作品では、こうした西洋系のオリジナルソフトが中心となるなか、アクションRPG【Demon’s Souls】 (2010年〔フロム・ソフトウェア〕〔SCEジャパンスタジオ〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕発売)が最初のヒット作となります。
同作は、フロム・ソフトウェアとSCEジャパンスタジオの共同案から生まれました。
プレイヤーは10種類の「生まれ」(兵士・騎士など)から1人を選択して操作。刀剣や魔法を駆使し、とある王国を滅亡に追いやったデーモン討伐を目指します。
ゲーム内でプレイヤーは、生身の状態と死んだあとのソウルの状態(*体力が半分に)の2段階の状況で戦いに挑みます。そして「死にゲー」なる言葉が普及するほど、主人公がゲーム内で何度も死んではやり直すことになる高難易度が最大の特徴でした。
また、オンライン仕様では複数人で楽しむマルチプレーだけでなく、同時間帯にプレー中の他の参加者の存在だけを可視化した機能(徘徊幻影)や、他の参加者が敵にやられて死んだ場所ではリプレーを通して学べる演出(血痕)が独自に盛り込まれました。
重苦しい雰囲気や残酷な描写を含むこうした世界観から「ダークファンタジー」作品とも呼ばれる同作は、日本ゲーム大賞2009・年間作品部門・優秀賞の他、海外でも数多くの賞を獲得し、高い評価を得ました(GameTrailers、IGN、GAMESPOTなどの海外WEBサイトにて)。
プレステ3の前機種プレステ2では、【真・三國無双】で一対多数のバトル(一騎当千)形式が登場し、その戦国時代版【戦国無双】も制作されました。
プレステ3ではこの「無双シリーズ」でアニメや漫画の人気キャラクター版が制作されています(【ガンダム無双】、【北斗無双】、【ワンピース 海賊無双】)。
同じく前機種では、東京の架空の繁華街を舞台にアウトローを主人公とするアクションアドベンチャーゲーム【龍が如く】が人気シリーズとなりました。
プレステ3では同シリーズのスピンオフ作、宮本武蔵を主人公とするアクションアドベンチャーゲーム【龍が如く 見参!】 (2008年〔セガ〕)が制作されます。
同作の舞台は、関ヶ原の戦い直後、江戸時代・京の都です。プレイヤーが操作する主人公・桐生一馬之介(きりゅうかずまのすけ)は、その関ヶ原の戦いで宮本武蔵の名で戦っていた過去があった設定です。現在は祇園で別の顔を持つ主人公のもとに、ひとりの少女が宮本武蔵を殺してほしいと依頼してきたことから物語が動き出します。
「龍が如くシリーズ」ではゲーム内に登場するキャラクターは、著名な俳優がモデルとなり、声優としても参加するのが特徴です。龍が如く 見参!では、松田翔太、寺島進、加藤雅也、塚本高史、竹中直人、松方弘樹などが起用されました。
龍が如く 見参!は、日本ゲーム大賞2008・年間作品部門・優秀賞を受賞しています。
プレステ3のソフトは、海外発の家庭用ゲーム機Xbox 360版との同時発売もなされます。北米ではXbox 360の市場シェアが優位にありました。
ゲーム機ごとに設定が変更された作品もあります。アクションRPG【NieR Replicant】(ニーア レプリカント:2010年〔キャビア〕開発・〔スクウェア・エニックス〕発売)は、プレステ3版では不治の病の妹のために娘をさらった魔王と戦う兄(主要な武器は剣)の物語に。Xbox 360版【NieR Gestalt】(ニーア ゲシュタルト:2010年〔キャビア〕開発・〔スクウェア・エニックス〕発売)では娘と父の物語となりました。
以後、刀剣が登場するプレステ3作品は、北米を中心とする海外市場を意識したアクションゲームが多数発売されています。
アクションシューティングゲーム【Quantum Theory】(2010年〔コーエーテクモゲームス〕)、スラッシュ激痛アクションゲーム【Knight Contract】(2011年〔ゲームリパブリック〕開発・〔ナムコバンダイゲーム〕発売)、体験型連続活劇アクション【Asura’s Wrath】(2012年〔サイバーコネクトツー〕開発・〔カプコン〕発売)、オープンワールドアクションRPG【Dragon’s Dogma】(2012年〔カプコン〕)、乱戦格闘アクションゲーム【MAX ANARCHY】(2012年〔プラチナゲームズ〕開発・〔セガ〕発売)などです。
これら多くの作品内容は、ダークファンタジーでした。Asura’s Wrath、Dragon’s Dogmaは、日本ゲーム大賞2011のフューチャー部門で優秀賞を受賞しています。
この間、死にゲーなる言葉を普及させたDemon’s Soulsと同様のシステムを応用したアクションRPG【DARK SOULS】(2011年〔フロム・ソフトウェア〕)も制作されます。
プレイヤーは10種類の「素性」(戦士・騎士など)から1人を選択して操作し、刀剣や魔法を駆使してモンスター討伐を目指します。Xbox 360版は海外のみで発売されました。
日本ゲーム大賞2012・年間作品部門・優秀賞を受賞した同作は、日本ゲーム大賞2014・年間作品部門・優秀賞を受賞した第2弾(2014年)、日本ゲーム大賞2016・年間作品部門・優秀賞を受賞した第3弾(2016年:プレステ4・Xbox One)と続きます。
そしてDARK SOULSは、のちにイギリス(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)のゲーム賞Golden Joystick Awards の2021にて、史上最高のゲーム作品に贈られるUltimate Game of All Timeを受賞しました(2021年)。
プレステ3とXbox 360のソフト同時発売が加速した時期、グラスホッパー・マニファクチュアと角川ゲームスは共同でゲーム制作に取り組みます。
ハッピー・ゾンビエンターテインメント【LOLLIPOP CHAINSAW】 (2012年〔グラスホッパー・マニファクチュア〕開発・〔角川ゲームス〕発売)では、プレイヤーはチェーンソーを手にするゾンビハンターの女子高校生を操作し、ゾンビを斬り倒していきます。
同作はアジア地域以外の発売は、Warner Bros. Interactiveが手がけ、北米を中心に多くの販売本数を記録しました。
21世紀の大人達に贈る愛と処刑(コロシ)のファンタジー【KILLER IS DEAD】 (2013年〔グラスホッパー・マニファクチュア〕開発・〔角川ゲームス〕発売)では、プレイヤーは新人処刑人の青年を操作します。
青年は、右手には日本刀・GEKKOU(月光)を、機械化された左手には換装武器(*性能を向上させて交換できる)を有し、2つの武器を駆使して凶悪犯罪者達の処刑を行います。青年の技は「カタナ=アーツ」と名付けられました。
激しいアクション描写の同作は、販売対象は18歳以上となっています。
プレステ3版とXbox 360版の同時発売にあたって、刀剣が主となる内容に変更された作品もあります。
業務用ゲーム(アーケードゲーム)として始まった2D対戦格闘ゲーム【ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナ】(2012年〔アトラス〕〔アークシステムワークス〕開発・〔アトラス〕発売)です。
アトラスとアークシステムワークスの共同案から生まれました。
現代を舞台にする「ペルソナシリーズ」は、刀剣と異能を武器とする面々が謎を解く人気シリーズです。ペルソナ4 ジ・アルティメット イン マヨナカアリーナでは、同シリーズに登場するキャラクター達が格闘技に挑む内容として作られました。
北米市場への志向が急速に高まり、国産の家庭用ゲーム機と同時に海外発の家庭用ゲーム機にも同時にソフト発売がなされた時期、刀剣が登場する家庭用ゲームは、アクションゲームが優勢となり、なかでもダークファンタジー的な世界観が人気となりました。