スペースファンタシーロールプレイングゲーム【ファンタシースター】(1987年〔セガ〕)。主人公は当時の家庭用ゲームとしては珍しい少女。物語舞台も当時のRPGで珍しい宇宙。ゲーム制作には3人の女性が中心にかかわる。
(■宇宙を舞台にした女性主人公のRPG登場)
業務用ゲーム機(アーケードゲーム機)のメーカーも1980年代に入ると家庭用ゲーム機の開発を手がけます。ワンコインで遊ぶアーケードゲームに対し、長時間遊べる家庭用ゲームでは、ロールプレイングゲーム(RPG)が発展します。刀剣が不可欠なジャンルです。老舗のアーケードゲームのメーカーが手がけた家庭用RPGでは、対抗会社との差別化から主人公や物語設定など独自色の強い内容が目指されます。
業務用ゲーム機(アーケードゲーム機)のメーカーも、家庭での需要に応えて、1980年代に入ると家庭用ゲーム機を開発します。
セガ・エンタープライゼス(現・セガ)は「ゲームパソコン」と呼ばれたSC-3000と、家庭用ゲーム機SG-1000を同時発売します(1983年7月15日)。両機は対抗会社の家庭用ゲーム機・ファミリーコンピュータ(通称ファミコン)〔任天堂〕と競うように開発され、ファミコンと同じ日に発売されました。
SC-3000とSG-1000と言う機器名は高額なパソコンに対し、30,000円、10,000円台と言う安価な本体価格の設定に基づいています。
SG-1000発売の翌年には小型化したSG-1000 IIを発売します(1984年)。その翌年には、グラフィックや音楽などが高品質なアーケードゲームを移植することを理想とし、高品質かつ大容量化を可能にしたセガ マークⅢを発売(1985年)。そのマイナーチェンジ機でFM音源内蔵や立体視用の接続端子を標準装備したセガ マスターシステム(海外版1986年・国内版1987年)を発売し続けるなど、セガ・エンタープライゼスは次々に市場に家庭用ゲーム機を投入しました。
本体の発展に伴ってソフトの形式も進化します。ゲームカートリッジとセガ マイカード(共に最大容量32キロバイト)の仕様を経て、大容量(1メガバイトから4メガバイト)のゴールドカートリッジを開発し(1986年)、複雑なゲームが家庭でもプレーが可能になりました。
SG-1000シリーズではスポーツゲームのチャンピオンシリーズ(ゴルフ、テニス、ベースボール、ボクシング、サッカー、プロレス)が制作されます。
セガ マークⅢシリーズでも新たなチャンピオンシリーズ(ロードランナー、アイスホッケー、剣道、ビリヤード)が制作され、パソコン規格のMSX版と並行して発売されました。
シリーズの1本【チャンピオン剣道】(1986年〔セガ〕)は、村上もとかによる剣道漫画【六三四の剣】がテレビアニメ化とファミコン化され(1985~1986年)、大ブームとなっていた時期に発売されています。
セガ マークⅢ発売の2年後、セガ・エンタープライゼス初のRPGが登場します。
スペースファンタシーロールプレイングゲーム【ファンタシースター】(1987年〔セガ〕)です。同作では自社初の4メガバイトと言う大容量ゴールドカートリッジが採用されました。
ロールプレイングゲーム(RPG)とは、物語性が重視された世界観のなかで経験値を上げて成長していく登場人物を操作し、仲間と共に旅をするゲームジャンルです。ファミコン初のオリジナルRPGとなった【ドラゴンクエスト】(通称ドラクエ)(1986年〔エニックス〕)の大人気によって一気に広まりました。
RPGは、ワンコイン、短時間で楽しむアーケードゲームではなく、ロングプレーが可能なパソコンゲームや家庭用ゲームで発展しました。
ファンタシースターの主人公は当時としては珍しく、少女です。その理由を制作者は、パソコンやファミコンのRPGとの差別化をねらったと明かしています(小玉理恵子インタビューより)。プレイヤーは少女を操作し、永遠の命を手に入れようと不穏な動きをする国王の野望を阻止し、国王一派に殺された兄の敵討ちを目指します。
物語の舞台は3つの惑星です。中世ヨーロッパをイメージしたファンタジックな世界観が中心だった当時のRPGのなかで珍しく、宇宙が舞台でした。タイトルの英語表記は「FANTASY」ではなく「PHANTASY」となっています。RPGと宇宙と言うような異なる世界観の組み合わせはアメリカ映画【スターウォーズ】の影響でした(小玉理恵子インタビューより)。
主人公の少女の武器は剣です(最強の武器はラコニアンソード)。3人の仲間、人間の言葉を話せるジャコウネコ、銃を得意とする戦士、魔力を得意とする中性的なエスパーと協力し、最後の敵(ラスボス)を打倒します。
ファンシースターは発売から2年後、ファミコン人気に伴って始まった冒険ゲームブックシリーズ(1986年開始)の1冊としてゲームブック(読者の選択によって物語展開と結末が変わる本)にもなりました(1989年)。
ファンタシースターは、トータル・プランニング&シナリオライターをオサール・コウタ(林田浩太郎)、シナリオをエイプリル・フール、アシスタント・コーディネーターをお手紙チエ(青木千恵子)とゲーマーみき(森本三樹)、トータル・デザインをフェニックスりえ(小玉理恵子)、サウンドをBO(上保徳彦)、メイン・プログラムをMUUUU YUJI(中裕司)などが手がけました。
青木千恵子、森本三樹、小玉理恵子は当時「セガ3人娘」と呼ばれました。のちに小玉理恵子は第19回Game Developers Choice Awards 2019(アメリカ)のパイオニア賞を受賞しています(2019年)。第11回同賞内パイオニア賞の鈴木裕(セガ当時)に次ぐ同賞の受賞であり、パイオニア賞初の女性受賞者となっています。
Game Developers Choice Awardsにおけるこれまでの日本人受賞者個人は、First Penguin Archive:【パラッパラッパー】松浦雅也、Lifetime Achievement Award:中裕司(セガ当時)、横井軍平(任天堂)、宮本茂(任天堂)、小島秀夫(コナミコンピュータエンタテインメントジャパン当時)、久夛良木健(くたらぎけん:ソニー・コンピュータエンタテインメント当時)、坂口博信(スクウェア当時)です。
ファンタシースター発売の翌年には、外伝となるアドベンチャーゲーム【星をさがして…】(1988年)が続きます。シナリオはゲーマーみき(森本三樹)、デザインはフェニックスりえ(小玉理恵子)です。ファンタシースターは以後、シリーズ化される人気ソフトとなりました。
セガマークⅢには、刀剣が主要な武器となる横スクロールのアクション(動作)ゲームも登場します。【剣聖伝】(1988年〔セガ〕)と【ロード オブ ソード】(1988年〔セガ〕)です。
剣聖伝でプレイヤーは、徳川家治(江戸幕府第10代将軍)治世下を生きる肥後国(現在の熊本県)在住の若武者・鳴神隼人(なるがみはやと)を操作します。目的は、家宝の龍王剣を奪って父を亡き者にした妖魔打倒です。肥後国から12ヵ国を経て、最後の敵(ラスボス)・幻術使い妖念斎のいる江戸(現在の東京都区部中央部)を目指します。
ファンタジー系のロード オブ ソードでは、プレイヤーは辺境の勇者を操作します。魔王に王を殺され危機を迎えた祖国を救うため、弓と剣を使い分け、向かってくる魔物を攻略します。
1988年、それまでのCPU(中央処理装置)の演算処理能力が8ビットの家庭用ゲーム機に次世代機が登場します。
セガ・エンタープライゼスによる16ビットの家庭用ゲーム機、メガドライブです(1988年10月29日発売。価格21,000円)。任天堂の16ビットの家庭用ゲーム機、スーパーファミコン(1988年披露・1990年発売。価格25,000円)に対抗し、先行して市場に投入されました。
この新たな家庭用ゲーム機でも、小玉理恵子がデザイナーとして関与したファンタシースターシリーズは続いています。
男性主人公となった【ファンタシースターII 還らざる時の終わりに】(1989年)と【時の継承者 ファンタシースターIII】(1990年)、再び女性が主人公となった【ファンタシースター ~千年紀の終りに~】(1993年)と次々と制作されました。
メガドライブでは、アーケードゲームの移植作よりも、家庭用ゲーム機独自に開発されたゲームソフトの割合が高まります。
次の2作の家庭用ゲームは、その移行期にあたります。
横スクロールのアクションゲーム【ザ・スーパー忍】(1989年〔セガ〕)では、プレイヤーは現代を生きる朧流(おぼろりゅう)忍者ジョー・ムサシを操作。師を殺し、許嫁を連れ去った悪の組織NEO ZEEDの打倒を目指します。
同作は、アメリカで俳優ショー・コスギ主演による忍者映画が大いに人気となるなかで制作されたアーケードゲーム【忍 -SHINOBI-】(1987年)の設定を受け継いでいます(ディレクター・大場規勝インタビューより)。
アクションRPG【ヴァーミリオン】(1989年〔セガ〕)は、プレイヤーは18歳の年を迎えた辺境の村の青年(その正体は滅亡した国王の息子)を操作します。かつて自身の国を滅ぼし、父を殺した敵国の王の打倒を目指します。
ヴァーミリオンの開発は、鈴木裕(Game Developers Choice Awards 2011パイオニア賞受賞者)がディレクターを務めた体感ゲーム(【スペースハリアー】、【アウトラン】、【アフターバーナー】)のノウハウを有するアーケードゲーム部門が担当しました。フィールド(野外)やダンジョン(迷宮)移動にその効果がもたらされています。
メガドライブ発売から4年目、オリジナルのシミュレーションゲーム(SLG)も登場します(1991年)。
それは「歴史シミュレーションゲーム」と言う言葉が定着し始めた頃にあたります。シミュレーションゲームとは、戦争や経営などを題材に模擬実験を楽しむジャンルです。織田信長の名を冠したパソコンゲーム【シミュレーションウォーゲーム 信長の野望】(1983年〔光栄マイコンシステム/光栄〕・PC-8001/PC-8801版他)の人気によって、歴史シミュレーションゲームと言う言葉が生み出されることになりました。
メガドライブ初のシミュレーションゲームは、ファンタジー・ウォーシミュレーションゲーム【バハムート戦記】(1991年〔セガ〕)です。プレイヤーは8人(聖戦士・狂戦士・大魔術師・エルフ・巨人・巨龍・大魔王・アンデッド)のなかから1人を選び、40の地域に分かれるバハムート大陸を制することを目指します。敵は主人公として選ばなかった残る7人です。
SLG【三国志列伝 乱世の英雄たち】(1991年〔セガ〕)では、プレイヤーは7人の君主(劉備・曹操・董卓・袁紹・孫堅・劉表・馬騰)から1人を選択し、三国統一を目指します。
同作では、戦闘場面に一騎打ちが導入されました。
SLG【忍者武雷伝説】(1991年〔セガ〕)では、プレイヤーは主人公の忍者を操作します。槍の達人・弓の達人・武者の他、各地で仲間を加えながら風の軍団を率い、織田信長の打倒を目指します。ゲームのクリアには草薙の剣が重要なアイテムとなっています。
戦闘場面では同作でも一騎打ちが導入されました。
吉川英治原作のNHK大河ドラマ【太平記】が放送された年でもあったこの年、戦記SLG【NHK大河ドラマ 太平記】(1991年〔セガ〕〔NHK放送協会〕開発・〔セガ〕販売)も制作されています。
プレイヤーは足利尊氏方(北朝)か楠木正成・新田義貞方(南朝)を選び、南北朝の対立を治めます。ここでも一騎打ちが導入されています。
同じくメガドライブ発売から4年目は、他社制作のシミュレーションゲーム、ロールプレイングゲーム(RPG)も登場します。
開発メーカーはファミコンへの参入が遅れたパソコンゲームメーカーが多く、それ以前の家庭用ゲームでは珍しい舞台設定を多く含みます。
その最初に登場するのは、リアルタイム・ウォーシミュレーションゲーム【シーザーの野望】(1991年〔マイクロネット〕)です。
当時のゲームの設定としては珍しく、古代ローマが舞台です。プレイヤーはジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)を操作して敵を打ち倒し、クレオパトラ救出を目指します。同作は第2弾も制作されました(1992年)。
3DダンジョンのRPG【シャイニング&ザ・ダクネス】(1991年〔クライマックス〕開発・〔セガ〕販売)は、ファミコンの人気RPGドラクエシリーズの制作陣が設立した新興メーカーが開発しました。
プレイヤーは新米王宮騎士の青年を操作し、神殿の奥で行方不明になった王女と父を探します。武器は剣で、仲間には幼なじみのホビットの僧侶とエルフのおてんば魔法使いです。ホビットとはJ・R・R・トールキンのファンタジー小説【指輪物語】で登場した小人族で、エルフとは北ヨーロッパ由来で妖精を意味します。同作も第2弾が制作されています(1992年)。
この年、剣が重要な要素となるゲームも制作されます。
ファンタジー・シミュレーションゲーム【ラングリッサー】(1991年〔日本コンピュータシステム〕開発・〔メサイヤ〕発売)では、プレイヤーは聖剣ラングリッサーを守護する王子を操作し、敵から聖剣を守ります。同作も第2弾が制作されました(1994年)。
ラングリッサーシリーズは、開発メーカーがそれまで手がけたパソコンゲームのシミュレーションRPG【エルスリード】シリーズ(1987~1990年)と共通した世界観を有します。
フルアニメーションによる戦闘シーンを導入したRPG【ブルーアルマナック】(1991年〔ホット・ビィ〕開発・〔講談社総研〕発売)は銀河が舞台です。プレイヤーは遠い惑星から届いた願いを叶えるため、古代剣を探す旅に出ます。開発メーカーはそれまでパソコンやファミコンでSFを題材としたゲームを手がけていました。
メガドライブではシミュレーションゲームが多数登場した年、アクションゲームも充実します。同社を代表するキャラクター、ソニックが初めて登場したアクションゲーム【ソニック・ザ・ヘッジホッグ】(1991年〔セガ〕)の発売もこの年です。
ソニック・ザ・ヘッジホッグは、アメリカでメガドライブ(海外名:ジェネシス)の売り上げを伸ばすためにアメリカで先行発売。その際、アメリカ市場で先行していたファミコン(海外名:NES)との差別化から、クールなイメージ戦略を採り、大学生などの青年を対象として海外で爆発的な人気となりました。
同年、メガドライブで刀剣が登場するアクションゲームは主に他社から登場しました。
ファンタジー系【セイントソード】(1991年〔サイクロンシステム〕開発・〔タイトー〕発売)、邪神の血をひく少女を操作する1920年代のアメリカが舞台のダークファンタジー系【エル・ヴィエント】(1991年〔ウルフチーム〕開発・〔日本テレネット〕発売)、歌舞伎を題材にした【魔王連獅子】(1991年〔キッド〕開発・〔タイトー〕発売)、女性魔法戦士を操作するファンタジー系【ダーナ 女神誕生】(1991年〔アイ・ジー・エス〕)など、それは主にファンタジー系でした。
このうちエル・ヴィエントを開発したウルフチームは、女性剣士物の先駆けとなるパソコンゲーム、アクションゲーム【夢幻戦士ヴァリス】(1986年・PC-8801他)を手がけており、メガドライブのソフトでもその特徴は活かされました。
そして、メガドライブにメガCDが登場します(1991年12月12日発売。価格49,800円)。
CD-ROMを採用した周辺機器を接続することでCD-ROMソフトのゲームを遊ぶことが可能になります。世界初のCD-ROMを採用したCD-ROM2(シーディーロムロム)の発売(1988年〔NECホームエレクトロニクス〕販売)から、3年遅れてのことでした。
メガCDではCD-ROM2と同様に、その大容量と動画圧縮技術が効果的に使用されたアニメーション的な表現がもたらされます。音楽CDと同様の特性(CD-DA)が活かされ、声優を使ったゲーム表現が発展しました。
メガCD発売の年、シミュレーションゲーム【天下布武-英雄たちの咆哮-】(1991年〔ゲームアーツ〕)が登場します。
ゲームはNHK大河ドラマのようなオープニング映像で始まります。プレイヤーは47名の戦国武将のなかから1人を選択し、天下統一を目指します。群雄割拠、天下布武、本能寺炎上、関ヶ原と時代区分された4つのゲーム内容を楽しむことができます。
ナレーションは佐藤正宏(WAHAHA本舗)、パッケージイラストを専門雑誌【歴史群像】(学習研究社)でおなじみの毛利彰が担当しています。
その翌年、シューティングゲームでは【電忍アレスタ Nobunaga and his Ninja force】(1992年〔コンパイル〕)が発売されます。ロボット物のパソコンゲームの人気シリーズが戦国時代化されました。
プレイヤーは、織田信長に仕える忍者・影狼(かげろう:緑川光)となってロボット・電忍アレスタに搭乗して戦います。敵は、巨大ロボットに乗った今川義元、上杉謙信、武田信玄、長宗我部元親、島津貴久、毛利元就の戦国武将です。
ここに、影狼の兄弟子で残忍な性格の鉄(くろがね:神谷明)と電忍アレスタを巡る争い、鉄に一族を滅ぼされた女性伊賀忍者・冴刃(さえば:久川綾)と影狼との恋愛模様、毛利元就を裏で操る地獄界の大公アスタロス(寺瀬めぐみ)の物語がアニメーションパートで交錯し、声優が活かされました。
メガCDで剣が主要な武器となるRPGは、【精霊神世紀フェイエリア】(1992年〔ウルフチーム〕)、3D視点の【アイルロード】(1992年〔ウルフチーム〕)、【LUNAR ザ・シルバースター】(1992年〔ゲームアーツ〕)などです。
同じ年に発売された3作でも、アニメーションパートが導入されます。キャラクター原案・作画監修に美樹本晴彦、アニメーション原画にJ.C.STAFF、キャラクターデザインに窪岡俊之(ガイナックス)など。声優も参加しています(銀河万丈、関俊彦、川村万梨阿、井上喜久子など)。
そのうち1作の続編で「メガCD 最後の超大作」を謳った【LUNAR 2 エターナルブルー】(1994 年〔ゲームアーツ〕)では、14名もの声優陣が参加(緑川光、横山智佐、西原久美子、置鮎龍太郎、久川綾、林原めぐみ、納谷六朗、家弓家正など)。ドラマ部分と歌を収録したおまけシングルCDも付属しました。
剣が主要な武器となるアクションゲームでは、シリーズ第3弾で剣が初めて登場する【アネット再び】(1993年〔ウルフチーム〕開発・〔日本テレネット〕発売)や、RPGや対戦型格闘ゲームの要素も盛り込まれた【バトルファンタジー】(1994 年〔マイクロネット〕)などがあり、女性キャラクターが活躍します。
これらにもアニメーションパートが導入され、多くの声優が参加しました(皆口裕子、矢尾一樹、堀川亮、山口勝平、富沢美智恵、銀河万丈、島本須美、草尾毅など)。
メガドライブのソフトは本体発売5年目、ソフト数はピークを迎えます(1993年)。
同年には小型化した廉価版として、メガドライブ2、メガCD2を同時発売しています(1993年4月3日)。
この年、セガ・エンタープライゼスは自社制作のRPGを発売します。戦闘場面ではウォー・シュミレーションを導入したRPG【ダークウィザード-蘇りし闇の魔導士-】(1993 年〔セガ〕)です。
シナリオ&監修に、ファミコンの人気RPG【ファイナルファンタジー】の1から3までのシナリオを手がけた寺田憲史を迎えました。プレイヤーは4人(男女2名ずつ)の聖王と呼ばれる主人公(王子・聖戦士・闇傀儡師・妖術師)から1人を選定し、闇の力と戦います。4人別々の物語の結末が用意されました(マルチエンディング)。
アニメーションパートの製作はスタジオ・ザイン、作画監督を谷口守泰(アニメアール)、キャラクターデザインを大貫健一(亜細亜堂出身)と毛利和昭(アニメアール出身)が務めています。
ダークウィザード-蘇りし闇の魔導士-の4つの物語の根幹には悪役、闇の魔導士ヴェロネーゼ(青野武史)の存在があります。
300年前、不死の術を扱える大魔導士ギリアム(徳丸完)は暗黒神アーリマン(曽我部和恭)を闇の宝珠に封じました。そのギリアムの高弟ヴェロネーゼは、不死の術を悪用しようとしたことから師から破門され、不死の術を施されたうえで暗黒神アーリマンの監視役として祠に閉じ込められます。以来ヴェロネーゼは師を恨み続け、300年後、暗黒神アーリマンの復活を願います。ヴェロネーゼは光の宝珠にまつわる光の杖を手にする聖王ウェンリーク8世を殺し、光明神アフラマズダ(日高のり子)と暗黒神アーリマンとによる光と闇の均衡を崩し始めます。
プレイヤーが操作する聖王は男女各2名となっており、それぞれ光と闇とに分かれています。
光の側は、王子と聖戦士です。王子は許嫁と父・聖王ウェンリーク8世を暗殺された過去を持ち、聖戦士は暗殺された聖王ウェンリーク8世に仕えた最強の女性騎士という設定です。
対して闇の側は、闇傀儡師と妖術師です。闇傀儡師はヴェロネーゼ以上の悪を目指すヴァンパイアであり、妖術師はヴェロネーゼの策略にはまり聖王ウェンリーク8世を暗殺した女性魔導士と言う設定です。
光の側の物語も闇の側の物語でもプレイヤーは男女どちらでも選べ、楽しむことができました。
ダークウィザード-蘇りし闇の魔導士-は、ゲーム発売の数ヵ月前に新たに創刊された文庫シリーズの第1弾の1冊として小説版が先行して発売されました(1993年)。そのあと、NHK-FMでラジオドラマ化(1996年)、ラジオドラマのCD化(1997年)がなされたメディアミックス作でもありました。
メガドライブの発売から2年後、セガ・エンタープライゼスは、自社初となる携帯ゲーム機、ゲームギアも発売しています(1990年10月6日。価格19,800円)。ゲームボーイ(1989年〔任天堂〕。価格12,500円)の対抗機でした。
ゲームギアでは4096色を同時に発色できるカラー液晶パネルが最大の特徴で、TVチューナーパックが付きました。
そんなゲームギアの自社オリジナルゲームソフトは、RPGが中心でした。
ゲームギア初のRPGであり、日本でのローグライクゲーム(プレーのたびにマップなどの展開が変化)の先駆けともなった【ドラゴンクリスタル―ツラニの迷宮―】(1990年〔セガ〕)、女性イラストレーター九月姫がキャラクターデザインを手がけた王女が主人公のRPG要素の強いシミュレーションゲーム【アーリエル クリスタル伝説】(1991年〔セガ〕)、当時としては珍しいアラビアンアナイトの世界を舞台にした本格的RPG【シャダム・クルセイダー ~遙かなる王国~】(1992年〔セガ〕)などです。
これらのファンタジー系では、剣が主要な武器です。
アーケードゲームメーカーが取り組んだ家庭用ゲーム機。アーケードゲームの移植からやがて家庭用ゲームのオリジナル作が増加。そこでは刀剣が欠かせないRPGが中心となりました。その根幹には当時RPGでは珍しかった宇宙を舞台に女性が活躍する物語が存在しており、男女どちらでも選べるRPGも生み出されました。