アクションゲーム【立体忍者活劇 天誅】(1998年〔アクワイア〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)。プレイヤーは名刀を受け継ぐ男性忍者あるいは小太刀による二刀流を駆使する女性忍者を操作。主君を脅かす敵の打倒、姫君の奪還を目指す。3Dステルス(隠密)ゲーム黎明期の作品。
(■刀剣アクションゲーム)
各メーカーから一斉に発売された32ビットの家庭用ゲーム機。なかには電子機器メーカーでもありレコード会社でもある企業なども参入し、ゲーム業界の再編も始まります。異業種から参入したメーカーによる新しいこの家庭用ゲーム機には、多くの新興ゲーム会社がソフト開発に携わり、刀剣が登場するゲームにも新風が巻き起こります。
1994年、CPU(中央処理装置)の演算処理能力32ビットの家庭用ゲーム機が各メーカーから一斉に発売されます(3DO REAL、セガサターン、PlayStation、メガドライブの周辺機器スーパー32X、PC-FX)。その翌年にも発売され(バーチャルボーイ)、さらに、その翌年の1996年には64ビットの家庭用ゲーム機も続き(NINTENDO64)、家庭用ゲーム機は3D表現を前提とする時代に入ります。
その1機、PlayStation、通称プレステは、電子機器メーカーでもありレコード会社でもある企業が参入して手がけた初の家庭用ゲーム機です(1994年12月3日発売。価格39,800円)。
プレステは本体の発売に合わせ、多彩なジャンルのソフトを8タイトル同時発売します。
その1本である、3DアクションRPG【クライムクラッカーズ】(1994年〔メディア・ビジョン〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)は、日本テレネット出身者によって前年に設立された新興企業が手がけました。
ここまひの少年漫画【超光世紀スター・クラッカーズ】を原作にしたこのゲームでは、プレイヤーは宇宙船を移動手段とする2人の少女と1人の魔物を駆使し、賞金首の宇宙海賊達を倒します。3人の武器はそれぞれハンドガン、ロングソード、ミニバルカンです。
ゲーム仕様は、1990年代パソコンのシューティングゲームで発展した、ファースト・パーソン・シューター/ファースト・パーソン・シューティング(FPS)ゲームと呼ばれる本人視点(一人称視点)となっています。
エンディングテーマ曲は、穴井夕子(もと・東京パフォーマンスドール)です。
そして、プレステ発売から2年、高い評価を得るソフトが登場します。
リズムアクションゲーム【パラッパラッパー】(1996年〔七音社〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)です。
企画と音楽は、音楽ユニットPSY・Sを解散させたばかりの松浦雅也。ビジュアルデザインはロドニー・グリーンブラット、シナリオを伊藤ガビンが担当したラップバトルを使った採点形式のゲームでした。
「音ゲー」の端緒とも称される同ゲームはCESA大賞(現・日本ゲーム大賞)’96 特別賞・ニューコンセプト部門を受賞。松浦雅也はのちにアメリカの第4回Game Developers Choice AwardsでFirst Penguin Archiveも受賞しました(2004年)。
以後、音ゲーはプレステの特徴のひとつとなりました(【ウンジャマ・ラミー】、【バスト ア ムーブ】、【ビブリボン】など)。
プレステ本体発売の前年、業務用ゲーム(アーケードゲーム)として登場した世界初の3D対戦格闘ゲーム【バーチャファイター】(1993年〔セガ〕)が人気を博します。アーケードゲーム【鉄拳】(1994年〔ナムコ〕)も続き、3D対戦型格闘ゲームのブームが起こりました。この間、初の剣戟(けんげき:刀剣による斬り合い)のみによる2D対戦型格闘ゲーム【サムライスピリッツ】(1993年〔SNK〕)も登場しています。
プレステ本体発売の翌年、プレステ初の3D対戦型格闘ゲーム【闘神伝】(1995年〔タムソフト〕開発・〔タカラ〕発売)が発売されます。サムライスピリッツのゲームボーイ版への移植からスタートしたゲーム会社が手がけました。
闘神伝では、主人公の日本人男性は白虎の太刀を武器とします。プレイヤーは、主人公を含む武器を手にした8人から選択し、闇の格闘トーナメントでの勝利を目指します。それぞれの武器は、西洋刀、ムチ、金棒、鉤爪、槍、両手剣、短剣です。
同作はシリーズ化(1995~1999年)、アニメ監督・大張正己によってオリジナル・ビデオ・アニメーション(OVA)化もされました(1996年)。
プレステではそのあとも、剣戟による3D対戦型格闘ゲームは続きます。
【三國無双】(1997年〔オメガフォース/コーエー〕)は、中国四大奇書のひとつ【三国志演義】に基づいた、剣戟のみによる対戦型格闘ゲームです。【シミュレーションウォーゲーム 信長の野望】を開発したメーカーの新部署による取り組みでした。
プレイヤーは1人プレーのバトルモードでは、蜀・魏・呉の登場人物から選択し、敵を倒していきます。
趙雲(ちょううん)は槍、関羽 (かんう)は青龍偃月刀(せいりゅうえんげつとう)、張飛(ちょうひ)は蛇矛(だぼう)、夏侯惇 (かこうとん)は曲刀、典韋(てんい)は板斧、許褚(きょちょ)は鉄槌、周瑜(しゅうゆ)は古錠刀(こていとう)、陸遜(りくそん)は双剣、太史慈(たいしじ)は双鞭(そうべん)、そして三国志演義に登場する架空の女性・貂蝉(ちょうせん)は双錘(そうすい)と、それぞれの武器を持つ10人から初期設定では選べます。
最後の敵(ラスボス)は、方天画戟(ほうてんがげき)を武器とする呂布(りょふ)です。
同作は以後、人気となる真・三國無双シリーズへと通じていきます。
【ブシドーブレード】(1997年〔ライトウェイト〕開発・〔スクウェアソフト/スクウェア〕発売)では、プレイヤーは武器を手にした6人から選択し、広島の山奥にある剣術道場内での勝利を目指します。
暗殺集団としても長い歴史を持つその道場で学ぶ面々が、妖刀・夕霧に取りつかれた師範代の打倒を目指します。武器は、セイヨーツルギ、薙刀、打刀、野太刀など複数を選択して使用します。急所にあたれば一撃必殺となる仕様も特徴です。第2弾も制作されました。
刀剣を主要な武器としたアクションゲームは続きます。
戦国時代を舞台にしたアクションゲーム【立体忍者活劇 天誅】(1998年〔アクワイア〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)では、プレイヤーは名刀・十六夜(いざよい)を受け継ぐ男性忍者、あるいは小太刀による二刀流を駆使する女性忍者を操作し、主君を脅かす敵の打倒、姫君の奪還を目指します。
3Dステルス(隠密)ゲーム黎明期の作品となった同作では、多くの敵を倒すこと以上に、いかに見つからないかもゲームの主眼となっています。ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)が主催するコンテストDigital Entertainment Program出身の若者達が起業して制作しました。
パッケージデザインは漫画家の沙村広明、音楽は朝倉紀行、ゲーム内のプレイヤーの動きの基礎となるモーションアクターには主人公にアクション映画俳優のショー・コスギと最後の敵(ラスボス)にケイン・コスギの他、喜多川2tom(ジャパン・アクション・クラブ)、神尾直子(ジャパン・アクション・クラブ)らが起用されました。
以後、同作は【立体忍者活劇 天誅 忍凱旋】(1999年)、【立体忍者活劇 天誅 忍百選】(1999年)、【立体忍者活劇 天誅 弐】(2000年)などシリーズ化、舞台化(2014年・2015年)もされるなど人気タイトルとなります。
立体忍者活劇 天誅と同様に男女選択型のアクションゲームは続きます。
「新時代劇」を謳ったアクションゲーム【新時代劇アクション 羅刹の剣】(1999年〔コナミ〕)では江戸時代後期を舞台に、プレイヤーは放浪の剣士あるいは江戸幕府に仕える女性隠密を操作。江戸幕府が有する金塊の消滅が起きた藩に潜入し、問題解決に挑みます。
モーションアクターはジャパン・アクション・クラブ(現ジャパンアクションエンタープライズ)が務めました。
定番の歴史シミュレーションゲームも制作されます。
【信長疾風記 煌】(1996年〔ビーピーエス〕)では、織田信長の生涯がロールプレイングゲーム(RPG)シナリオで描かれます。
日本で初めてゲームデザイナーを名乗ったとされるゲーム愛好家チームのひとりで、数々のボードゲーム版ウォー・シミュレーションゲームを手がけてきた黒田幸弘(レック・カンパニー)が全面協力しました。パッケージイラストは、専門雑誌【歴史群像】(学習研究社)でおなじみの毛利彰が担当しています。
そのあと、シミュレーションゲーム【戦国夢幻】(2001年〔アルファ・ユニット〕開発・〔バンプレスト〕発売)、シミュレーションゲーム【SIMPLE1500シリーズ Vol.85 THE 戦国武将~天下統一の野望~】(2002年〔シエスタ〕開発・〔ディースリー・パブリッシャー〕発売)なども続いています。
歴史を題材にしたアドベンチャー(冒険)ゲームも登場します。
テキストアドベンチャーゲーム【信長秘録 下天の夢】(1997年〔アテナ〕)では、プレイヤーは織田信長を操作します。本能寺の変の場面で始まり、そこから改めて織田信長の人生を生き直します。桶狭間の戦いあるいは長篠の戦いのいずれかを分岐点とする生涯を選択していきます(マルチエンディング)。
脚本はテレビ時代劇【暴れん坊将軍】や【遠山の金さん】などを手がける井川公彦・蔵元三四郎・杉昌英です。この頃人気のゲームジャンルのひとつになり始めていた、文章(テキスト)中心の形式でした。
歴史アドベンチャーゲーム【忠臣蔵 検証・赤穂事件】(1998年〔カプコン〕開発・〔東映ビデオ〕発売)では、プレイヤーは架空の48番目の赤穂浪士となり、赤穂事件の真実に挑みます。
企画脚本は伊藤秀行。キャラクター原画・監修は漫画家さいとう・たかを、アニメーションパートはジェイ・シー・エフが手がけました。
「ゲーム業界初の本格時代劇アドベンチャー」を謳った【鬼眼城】(1999年〔フェザード〕開発・〔講談社〕発売)では江戸幕府が開く前年を舞台に、プレイヤーは士官志望の侍を操作し、名君と噂される城主の拠点・鬼眼城の奪還、そしてさらわれた姫を救います。
鬼眼城とは鎌倉時代に東北で暴れていた鬼の片目を矢で射て退治し、その屍の上に建てたことに由来します。鬼眼城は地下階を有し、6階建ての最上階に鬼退治の証しを祀っています。
原案・脚本は映画監督・野村芳太郎に師事した桧木田正史(ひのきだまさし)、サウンドプロデュースをファンキー末吉(爆風スランプ)、浪曲師・国本武春が口上と三味線で参加、アニメーションパートはスタジオぴえろです。
シミュレーションロールプレイングゲーム(SRPG)も制作されます。
戦術を駆使した模擬実験(シミュレーション)と、物語性が重視された世界観のなかで経験値を上げて成長していく登場人物が仲間と共に旅をする(ロールプレイング)と言う2つのゲームジャンルの組み合わせです。
パソコンゲームでは人気ジャンルとなっていた同ジャンルは、家庭用ゲーム機スーパーファミコンのソフト【ファイアーエムブレム 紋章の謎】(1994年〔インテリジェントシステムズ〕開発・〔任天堂〕販売)の人気で広がりました(1996年OVA化)。
プレステでも同傾向の洋風のシミュレーションRPGは多数制作されます(コナミ【ヴァンダルハーツ〜失われた古代文明〜】、ヘクト【ライアット・スターズ】、アイディアファクトリー【スペクトラルフォース】、インテリジェントシステムズからの独立組ティルナノーグ/エンターブレイン【ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記】など)。
同時に非西洋を題材にしたシミュレーションRPGも数多く制作されました。
シミュレーションRPG【戦国サイバー 藤丸地獄変】(1995年〔パンドラボックス〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)では、プレイヤーは武田信玄が育てた忍者を操作し、仲間と共に武田信玄暗殺の実行犯を追い詰めます。すべての仲間をひとりも殺さないことによって真のエンディングに辿り着ける仕様でした。
主人公の仲間には、加藤段蔵、百地三太夫、石川五右衛門、風魔小太郎、服部半蔵の親子、児雷也、真田十勇士の面々などが登場します。
総指揮・原作・脚本は飯島健男(現・飯島多紀哉)。ミュージックプロデューサーは久保田麻琴、主題歌はデボラ・ハリー(ブロンディ)です。
シミュレーションRPG【鋼仁戦記】(1998年〔サンタエンタテイメント〕開発・〔トンキンハウス/東京書籍〕発売)では、古代日本を想起させる舞台でプレイヤーは剣とロボット・鋼仁(ごうじん)を武器に、隣国によって滅ぼされた祖国の謎を探ります。
開発は前年設立されたばかりの新興企業が手がけました。発売年には霧崎遼樹(きりさきりょうき)による小説【鋼仁戦記 厄神に憑かれし者たち】(メディアワークス・電撃文庫)も発売されました。
プレステでは本体発売の翌年、ソニー・コンピュータエンタテインメントを略して「SCE三大RPG」を掲げたキャンペーンがなされます。
日本コンピュータシステム~スクウェア出身者によるシミュレーションRPG【アークザラッド】(1995年〔ジークラフト〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)、田森庸介の冒険漫画を原作としキャラクターデザインをアニメーターの福島敦子が手がけたRPG【ポポロクロイス物語】(1996〔ジーアーティスツ〕〔シュガーアンドロケッツ〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)、日本テレネット出身者によるRPG【ワイルドアームズ】(1996年〔メディア・ビジョン〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)の3作です。
SCE三大RPGが謳われた期間、他にもRPGが登場し、盛り上げます。
RPG【ビヨンド ザ ビヨンド 〜遥かなるカナーンへ〜】(1995年〔キャメロット〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)は、セガ出資会社出身者がプレステへの参入を機に設立した新興企業が手がけました。キャラクターデザインは漫画家・柴田亜美です。
RPG【ラグナキュール】(1997年〔アートシステム〕開発・〔アートディンク〕発売・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)は、Digital Entertainment Programの優勝者が開発を手がけました。
家庭用ゲームの人気ジャンルRPGはその後も、プレステでも多数制作されます。
イラストレーター末弥純がメインキャラクターデザインを担当したRPG【ジルオール】(1999年〔コーエー〕)。日本コンピュータシステム出身者によるノンストップドラマチックRPG【グローランサー】(1999年〔キャリアソフト〕開発・〔アトラス〕発売)では、アニメーターうるし原智志がキャラクターデザインを担当します。日本テレネット出身者によるアクションRPG【ヴァルキリープロファイル】(1999年〔トライエース〕〔トーセ〕開発・〔エニックス〕発売)も続き、これらは同じ年に発売されました。
この間、実験的なRPGも生み出されます。
「シンフォニックRPG」を謳った【黄昏のオード】(1996年〔トンキンハウス/東京書籍〕)では、魔法の代わりに歌が使用されます。日本テレネット~スクウェア出身者による「リミックスRPGアドベンチャーゲーム」を謳った【moon】(1997年〔ラブデリック〕開発・〔アスキー〕発売)では、勇者は罪のないモンスターを殺していた悪として描かれます。「新世代サイバネティックRPG」を謳った【ゼノギアス】(1998年〔スクウェア〕)では、難解な哲学や宗教用語などが頻出します。同作のアニメーション・ムービーの制作はProduction I.Gが手がけました。
アジアや日本にゆかりのあるRPGも制作されます。
RPG【幻想水滸伝】(1995年〔コナミ〕)では、プレイヤーは主人公である解放軍のリーダーとなり、圧政を強いる帝国軍と戦うことになります。
西洋ファンタジー風の世界観も導入され、主人公は帝国五将軍のひとりの息子であったにもかかわらず、不思議な力を持つ紋章を継承したことで紋章を欲する皇帝の愛人と対立。帝国軍そして父と争うことになります。
原典とした中国の長編白話小説【水滸伝】で登場する108人の豪傑達と同様に、ゲーム内で仲間は107人(自身を含むと108人)まで可能となっています。戦闘場面で同時に使用できるのは自身を含む6人です。
同作は長期にわたってシリーズ化されました(1995~2012年)。ディレクション・シナリオは村山吉隆です。
アクションRPG【ブレイヴフェンサー 武蔵伝】(1998年〔スクウェアソフト/スクウェア〕)では、プレイヤーは剣士ムサシを操作します。
近未来のとある西洋国の王が、闇の魔人に対する存在として王国に残る剣豪・武蔵伝説に基づき召喚を行います。けれども召喚術が未熟だったことから、召喚されたのは子供時代のムサシでした。ムサシは手渡された、刺した相手の能力を奪うこと(ゲット・イン)ができる雷光丸と、かつて魔人を封じたとされる光の剣レイガンドを入手して二刀流で魔人退治に挑みます。
ムサシは5匹の強敵がそれぞれ有する五輪の書と呼ばれる5つの石版を入手することで、レイガンドの必殺技が進化します。
原案・ディレクターは吉本陽一、企画・脚本・キャラクターデザインは小川公一。発売と同年、アニメーターの大貫健一によって漫画化されました。のちに第2弾にあたる作品も制作されました。
育成型のRPG【俺の屍を越えてゆけ】(1999年〔アルファ・システム〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)では平安時代を舞台に、プレイヤーは勇士の子を操作し、両親の敵である大江山に住む酒呑童子ならぬ朱点童子の退治を目指します。
朱点童子はプレイヤーの一族に呪いをかけており、主人公には寿命が設定されています。また人ではなく神様との子を産み繋ぐこと(交神の儀)でゲームを続けることが可能になる仕様でした。
総監督・脚本・ゲームデザインは桝田省治です。アニメーション監督は日下部光雄(スタジオ・ザイン)。ゲーム内容の前日譚を、海法紀光(かいほうのりみつ)が【俺の屍を越えてゆけ 呪われし姉弟の輪舞】(角川書店・ファミ通文庫)として小説化しています(2002年)。同ゲームはのちに続編が制作されました。
刀剣が登場する現代を舞台にしたRPGやアドベンチャーゲームも数多く制作されます。
RPG【女神異聞録~ペルソナ~】(1996年〔アトラス〕)では、プレイヤーは現代を生きる男子高校生を操作し、街で起こった異変の解決にクラスメート達と挑みます。主人公や仲間は別人格の不思議な力・ペルソナ使いでもある一方で、接近戦の武器としては片手剣、両手剣、斧、槍などを使用します。
西谷史の伝奇SF小説【デジタル・デビル・ストーリー】を端緒とするメディアミックス作でもある同作は、以後「ペルソナシリーズ」として人気シリーズとなります(1999年など)。
ギャルゲー(魅力的な女性を主人公としたゲーム)+アドベンチャー(冒険)=「ギャルベンチャー」と謳ったアドベンチャーゲーム【ありす in Cyberland】(1996年〔グラムス〕)では、プレイヤーは異世界サイバーランド(電脳空間)にダイブする現実世界に暮らす中学生3人を操作し、サイバーランドの秩序を守ります。サイバーランドでは剣などを武器とする姿に変身して戦います。
プロデュースにアイドルの千葉麗子が参画。シナリオは小中千昭、キャラクターデザインは森山大輔、アニメーションパートの監督は新房昭之、アニメーション制作はJ.C.STAFFです。浅田葉子、荒木香恵、宮村優子など多数の人気声優が起用されました。
同時に主題歌CD、テレビアニメ、OVA、ドラマCD、小説、スナック菓子のおまけのトレーディングカード、フィギアなどを発売。メディアミックスがなされました。
学園伝奇アドベンチャーSLG【東京魔人學園剣風帖】(1998年〔シャウトデザインワークス〕開発・〔アスミック・エース エンタテインメント〕発売)では、プレイヤーは男子高校生を操作して新宿にある学園の謎を解いていきます。味方のひとりは木刀と日本刀を武器とします。
ゲーム内の第3話「妖刀」では村正に取りつかれた剣鬼が敵です。強敵は柳生を名乗り、ノストラダムスの大予言がなされた1999年をとらまえた現世に陰をもたらす龍の力の復活を企みます。決戦の場所は寛永寺です。
監督・脚本はアトラス出身の今井秋芳、キャラクターデザインはイラストレーターの小林美智です。今井秋芳は時代小説家・山田風太郎や、栗本薫、菊地秀行、夢枕獏、荒俣宏の影響を公言しています。
同作は喜名朝飛(きなあさと)によって、主人公の味方の木刀・日本刀使いを強調した漫画化もされました。ゲームは第2弾も制作され、舞台は幕末です。
アドベンチャーRPG【エクソダスギルティー】(1998年〔アーベル〕開発・〔イマジニア〕発売)では、過去(紀元前1200年)・現代(西暦2000年)・未来(西暦13800年)の3つの時代が自由に選択可能となっており、同じひとつの場所を巡って、大きなひとつの物語を体験します。
神の生贄を題材にした過去編では、プレイヤーは「大地の剣士」と称される剣士を操作します。
監督・シナリオ・ゲームデザインは、18禁のパソコンゲームで知られるエルフから独立して家庭用ゲームに初参入した菅野ひろゆき(剣乃ゆきひろ)、アニメーション製作総指揮はデジアニメ・コーポレイションです。
2000年、難易度が高くなりがちのシミュレーションRPGに、バトルの簡易化、アドベンチャーゲームで重視される恋愛要素の強い会話パートを導入するなど、入門編となる作品も登場しました。
開発会社初のオリジナル作となるシミュレーションRPG【サモンナイト】(2000年〔フライト・プラン〕開発・〔バンプレスト〕発売)では、プレイヤーはかつて楽園と呼ばれた異世界のとある国を救うために召喚された日本の高校生(男子2人・女子2人から1人を選択)を操作します。
アドベンチャーパート、剣などの武器や召喚獣を使用するバトルパート、夜会話パートとにわかれ、夜会話の内容によってはエンディングが変わるマルチエンディングでした。
キャラクターデザインをイラストレーターの飯塚武史(別名義・黒星紅白)が手がけた同作はゲーム発売の年、都月狩(みやこづきしゅう:都月景:みやこづきけい)による小説【SUMMON NIGHT ―帰るべき場所へ― 】(集英社・JUMP jBOOKS)も発売されました(2000年)。
シミュレーションRPG【聖霊機ライブレード】(2000年〔ウィンキーソフト〕)では、プレイヤーは異世界でロボット・ライブレードに乗る男子高校生を操作し、異世界の平和のために戦います。ライブレードは神剣ダイフォゾンを武器とします。
人気のスーパーロボット大戦シリーズの開発会社初のオリジナル作でした。
同作でもアドベンチャーパートが挿入されます。2人乗り仕様のロボットの必殺技は、女性パートナーと相性によって変化する恋愛シミュレーションの要素が導入されました。
シミュレーションゲーム+アドベンチャーゲーム【高機動幻想ガンパレード・マーチ】(2000年〔アルファ・システム〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)では、銃と刀剣を武器とするザ・スピリットオブサムライとも呼称される人型戦車に搭乗する男性主人公を操作し、人類の天敵と戦います。刀剣の呼称は超硬度大太刀です。
同作でも学園アドベンチャーのパートが挿入されます。愛情評価と友情評価のパラメーターが設定され、学園生活に影響します。またゲームをクリアして2週目からは、1週目の男性主人公以外の男女キャラクター(女性2名・男性2名)が主人公として選択可能となります。
同作は、第5回日本ゲーム大賞・優秀賞、SFオンライン大賞ゲーム部門、第32回日本SF大会星雲賞・メディア部門をそれぞれ受賞。発売時には、広崎悠意(ひろさきゆうい)と榊涼介によって小説化(メディアワークス・電撃文庫)、漫画化もされました。
アクションRPG【ベアルファレス】(2000年〔Zealsoft〕開発・〔ソニー・コンピュータエンタテインメント〕販売)では、地下都市の遺跡(不老不死の石が眠っているとされる)を舞台に様々な物語が展開されます。プレイヤーが操作する主人公と13人から選択できる仲間との恋愛シミュレーションの要素も導入されました。マルチエンディングには同性同士の恋愛も描かれます。
同作はソニー・コンピュータエンタテインメント主催のゲームクリエイターオーディション「ゲームやろうぜ!プロジェクト」出身者がディレクターを務め、キャラクターデザインやシナリオにはファイアーエムブレム 紋章の謎のスタッフが参加しました。
恋愛育成シミュレーションゲーム【夏色剣術小町】(2000年〔クリエイターズ プロデュース ユニット ゴー〕開発・〔NECインターチャネル〕発売)では、プレイヤーは剣道部の主将である男子高校生を操作。アドベンチャーゲームのパートではヒロインとの恋愛を、シミュレーションゲームのパートでは大会での優勝を目指します。
そして、女性向け恋愛アドベンチャーゲームの黎明期の1作となる【遙かなる時空の中で】(2000年〔ルビーパーティー/コーエー〕)が登場します。
プレイヤーは異世界に召喚された女子高校生を操作します。平安時代の京の都に似た世界で主人公は龍を操ることができる力を持つ龍の神子であり、八葉(はちよう)と称される龍の神子を守る役割の8人の男性陣を味方に怨霊を鎮めます。敵は鬼の一族で、京を支配しようと企んでいます。
八葉は、主人公と同様に異世界に召喚された男子高校生2人の他、若武者、鍛冶師見習いなどです。
同作は、開発メーカーが掲げる「ネオロマンスゲーム」の第2弾でした。キャラクターデザインは水野十子(みずのとおこ)です。以後、同作は、ゲームはシリーズ化(2000~2018年)、漫画化(2000~2010年)、OVA化(2000年、2003年)、テレビアニメ化(2004~2005年)、映画化(2006年)、舞台化(2009年)される一大人気シリーズとなります。
プレステ発売の2年後、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)が家庭用ゲームを対象にした賞、日本ゲーム大賞(当初はCESA大賞)をスタートしています(1996年)。
プレステオリジナルの作品も数多く受賞しました。
CESA大賞’96では、【パラッパラッパー】が特別賞・ニューコンセプトを受賞。CESA大賞’97では、【I.Q. インテリジェントキューブ】と【グランツーリスモ】が優秀賞、【モンスターファーム】が審査員特別賞を受賞。第3回CESA大賞では、【R4 リッジレーサータイプ4】と【バイオハザード2】が優秀賞。
そして、第4回日本ゲーム大賞では【どこでもいっしょ】が大賞を受賞しました。同作は、「ゲームやろうぜ!プロジェクト」から誕生しました。
第5回日本ゲーム大賞では、【高機動幻想ガンパレード・マーチ】が優秀賞、【ぼくのなつやすみ】がニューウェイブ賞を受賞しています。
人気のRPGシリーズのプレステ版も受賞しています。
【ファイナルファンタジーVII】(CESA大賞’97大賞受賞)、【ファイナルファンタジーVIII】(第4回日本ゲーム大賞優秀賞)、【ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち】と【ファイナルファンタジーIX】(第5回日本ゲーム大賞優秀賞)です。
他にも日本ソフトウェア大賞では、【アクアノートの休日】と【ジャンピングフラッシュ! アロハ男爵ファンキー大作戦の巻】が第4回エンターテインメントソフト部門・優秀賞を、【バイオハザード】が第5回エンターテインメントソフト部門・最優秀・アドベンチャーの部を受賞しています。
32ビットの家庭用ゲーム機が各メーカーから一斉に発売された時代、異業種から参入した新しい家庭用ゲーム機の登場によって新たな門戸が開かれ、新興のゲーム会社による新しい発想のゲームソフトが次々と生まれました。刀剣が登場するゲームでも独自の作品が数多く誕生しました。