アクションゲーム【ゼルダ無双】(2014年〔オメガフォース/チームニンジャ:コーエーテクモゲームス〕開発・〔コーエーテクモゲームス〕発売)。「ゼルダシリーズ」と「無双シリーズ」の共に人気シリーズのコラボ作。ゼルダシリーズでおなじみのキャラクターを操作し、無双シリーズの特徴である一対多数のバトル(一騎当千)形式で戦う。
(■人気刀剣ゲームとコラボする人気キャラ)
新たな三大家庭用ゲーム機の時代を迎えた2000年代、家庭用ゲーム機は据え置き型から携帯型の志向へ、ソフトもダウンロード販売の時代に入ります。国産の二大家庭用ゲーム機同士の仕様の類似も始まります。そんな時代の刀剣が登場する家庭用ゲームでは、人気シリーズ同士のコラボもゲーム機の垣根を越えて行われます。
2000年初頭、国内の三大家庭用ゲーム機メーカー(任天堂・セガ・ソニー)から1社(セガ)が家庭用ゲーム市場からの撤退を発表します(2001年1月)。その翌年、海外発の家庭用ゲーム機(Xbox)が日本市場に参入し(2002年2月)、新時代を迎えました。
家庭用ゲーム機は、CPU(中央処理装置)の高速化に伴ってグラフィック表現が豪華になる一方で、国内市場ではゲーム離れが起こり始めていました。そこで、「ゲーム人口の拡大」を目指し、老若男女に対応した携帯型ゲーム機、ニンテンドーDS、通称DSが開発されました(2004年12月2日発売。価格15,000円)。
DSと同様のビジョンに基づいた次世代の家庭用ゲーム機も発表されます。
任天堂のWiiです。海外で先行発売されたのち、日本で発売されました(2006年12月2日。価格25,000円)。ソニー・コンピュータエンタテインメント(現ソニー・インタラクティブエンタテインメント)のPlayStation3、通称プレステ3が日本発売された翌月のことでした(2006年11月13日発売。価格39,980円)。
Wiiは、最大出力解像度はSD(標準)画質、AVマルチ出力端子、無線LANによるインターネット接続、光学ドライブはメーカー専用ソフトのみの対応です。
最大の特徴は、リモコン型のコントローラに取り付ける外部拡張コネクタ「ヌンチャク」です。3軸(XYZ)加速度センサーによって独自のゲーム操作が可能となりました。
また、本体発売の2年後には、ソフトをダウンロード購入できるサービス「Wiiウェア」を開始。アメリカ合衆国で先行後、日本国内でも始まりました(2008~2011年)。
Wiiは本体発売と同時に16タイトルを発売します。スポーツゲーム、アクションゲーム、アドベンチャーゲームなど多彩なジャンルをそろえました。
その1作、アクションゲーム【REDSTEEL】(2006年〔Ubisoft Paris Studio〕開発・〔ユービーアイソフト〕発売)では刀剣が主題です。
フランス共和国に拠点を置くゲーム開発会社が開発しました。当初のタイトル案は「カタナ」で、真っ赤に燃える日本刀のイメージなどから「レッドスティール」となりました。
同作は、主人公のアメリカ人男性が、日系アメリカ人フィアンセとその父にロサンゼルスで対面するところから始まります。ヤクザの組長だったフィアンセの父は襲撃に合い、フィアンセは日本に連れ去られます。そこで主人公はフィアンセ奪還のために戦うことになります。抗争の要因は、フィアンセの家に代々伝わる神剣・刀霧(かたなぎり)でした。
プレイヤーは、ファースト・パーソン・シューター/ファースト・パーソン・シューティング(FPS)ゲームと呼ばれる本人視点(一人称視点)によって主人公を操作し、敵を倒します。
コントローラを銃や刀として使用することから企画された同作では、トリガーをひく銃の動きや、振り下ろす刀の動きがコントローラ操作に反映されました。
チャンバラアクションが掲げられた第2弾も制作され、こちらは西部劇的な世界観のなかで、クサガリ一族の主人公が、追放された一族の土地と奪われた空刀(そらかたな)を追い求めます(2010年)。
プレステ発の人気のシリーズ「無双シリーズ」のスピンオフ(派生作)となるアクションゲーム【戦国無双KATANA】(2007年〔オメガフォース/コーエー〕)でも、コントローラが駆使されます。
無双シリーズ初の一人称視点が採用された同作で、プレイヤーは主人公を操作し、5つ用意された各モードで勝利を目指します。そのひとつ「無双演武」は、織田信長に仕官して立身出世を目指すモードです。
ポインタによる通常攻撃の他、コントローラを振ると強力な攻撃ができ、そして特定の条件でヌンチャクを振ることで発動する必殺技「無双奥義」などが組み込まれました。
殺し屋アクションアドベンチャーゲーム【ノーモア★ヒーローズ】 (2007年〔グラスホッパー・マニファクチュア〕〔マーベラスエンターテイメント〕開発・〔マーベラスエンターテイメント〕発売)は、国内メーカーによる本機オリジナルの刀剣ゲームです。
アメリカ西海岸をモデルにした街で、プレイヤーは殺し屋ランキング11位の青年を操作。ランキング10位の敵から順に殺して1位を目指します。武器はビーム・カタナです。敵もビーム・カタナ、日本刀などを使用します。同作でも、最後の一撃はコントローラを振って必殺とします。
主人公の戦闘スタイルが二刀流も選択可能になった第2弾も制作されました(2010年)。
ノーモア★ヒーローズの制作メーカーは、それまで主にプレステを拠点としました。
殺し屋を操作するアクションアドベンチャーゲーム【killer7】(2005年)、「新感覚サムライ・ロードムービー」を謳ったテレビアニメ原作【サムライチャンプルー】(2006年)、日本刀を武器とする女子高校生を主人公とするテレビアニメ原作【BLOOD+ ONE NIGHT KISS】(2006年)をプレステ2で手がけていました。
こうした東洋趣味を逆手に取った傾向の作品で育まれた刀剣観がノーモア★ヒーローズには反映されています。
ノーモア★ヒーローズはのちにプレステ3へ移植(2010年)。販売対象は18歳以上となる激しいアクション描写の内容に仕上げられています。
国内メーカーによる刀剣が登場する本機オリジナルの和風作品も制作されています。
和風剣戟アクションRPG【朧村正】(おぼろむらまさ:2009年〔ヴァニラウェア〕開発・〔マーベラスエンターテイメント〕発売)です。開発会社はそれまで主にプレステ2にて、魔法ファンタジー系を手がけていました。
朧村正は、徳川綱吉(江戸幕府第5代将軍)治世下の元禄時代を舞台に、妖刀・村正が引き起こす物語です。
プレイヤーは村正を手にした2人の物語を体験します。「鬼助伝」(きすけでん)では記憶を失った抜け忍の少年を操作し、過去を取り戻すべく奔走します。「百姫伝」(ももひめでん)では剣豪の悪霊が取り付いた、とある藩主の娘を操作し、もとの姿に戻るために奔走します。
共に武器として3振りの刀を装備し、2D横スクロールのゲーム内で敵を斬っていきます。一定の条件下で刀の持ち替えを行うと、無敵状態のなかで必殺技「居合斬り」を繰り出すことができます。
Wii発売から6年後、その後継機Wii Uが登場します。海外で先行発売されたのち、日本発売されました(2012年12月8日。価格31,500円)。
同機でも独自のコントローラが最大の特徴です。液晶ディスプレイ搭載の「Wii U GamePad」が同梱され、テレビモニターでもWii U GamePadだけでも楽しむことができました。据え置き型と携帯型の両方の仕様です。
また、高精細度ビデオと5.1chサラウンドに対応したHDMI端子、Bluetooth、USB端子なども加わり、開発メーカーのこれまでの方針から転換となる高画質・高音質の取り組みもなされました。
Wii U本体発売の前年、オンラインストア「ニンテンドーeショップ」がスタート(2011年)。翌年からWiiディスクソフトのダウンロード販売も始まりました(2012年~)。
刀剣が登場する作品に、シューティングアクションゲーム【デビルズサード】(2015年〔ヴァルハラゲームスタジオ〕開発・〔任天堂〕販売)があります。パッケージ版はAmazon限定販売で、店頭販売を行わず、ダウンロード版を軸としました。
プレイヤーは、主人公で元テロリストの男(旧ソ連の特殊部隊出身、投降して米国で囚人となる)を操作し、銃と刀を武器に世界の危機を救うことに臨みます。ゲーム画面は通常時は三人称視点、射撃時は一人称視点となります。
主人公が立ち向かう敵は、旧ソ連の特殊部隊の残党で、かつての仲間同士の争いとなっています。さらに、主人公の師は江戸幕府に仕えた忍者の末裔とされ、明治維新以来の日本政府への恨みからソ連の特殊部隊に入隊したと設定されました。江戸幕府とソ連という共に崩壊した史実がふまえられ、夢破れて信念が崩壊した主人公という悲劇性が加えられています。
デビルズサードは、海外で高い評価を得ているゲームを手がけた制作陣が制作しました。業務用ゲーム(アーケードゲーム)として始まった対戦型格闘ゲーム【デッド オア アライブ】〔チームニンジャ/テクモ〕シリーズ、同じくアーケードゲーム【忍者龍剣伝】の新展開の忍者アクションアドベンチャーゲーム【NINJA GAIDEN】〔チームニンジャ/テクモ〕シリーズなど、チームニンジャ名義による制作実績を誇ります。
共に海外発の家庭用ゲーム機Xbox版・Xbox 360版を通じて家庭用ゲームにもなり、さらなる人気を博します。
デビルズサードについて開発者は、「私達が格闘ゲームで培ったノウハウと、剣アクションゲームで培った経験・技術をすべて投入して作り上げた」と述べました(クリエイター板垣伴信コラム)。
Wii Uで刀剣が登場する作品では、著名なゲーム制作会社同士の共作も特徴です。
アクションゲーム【ゼルダ無双】(2014年〔オメガフォース/チームニンジャ:コーエーテクモゲームス〕開発・〔コーエーテクモゲームス〕発売)は、「無双シリーズ」と「ゼルダシリーズ」と、共に人気シリーズのコラボでした。
プレステ発の無双シリーズは、一対多数のバトル(一騎当千)形式による3Dゲームの大流行を生み出しました。ファミリーコンピュータディスクシステム発のゼルダシリーズは家庭用ゲームにおけるアクションアドベンチャーゲームの火付け役となり、3D時代に入るとZ注目システム(特定の敵にフラグを立てるいわゆるロックオン機能)を初めて登場させるなど、無双シリーズとゼルダシリーズは共に家庭用ゲーム史に革命をもたらした2作です。
ゼルダ無双ではプレイヤーは、ゼルダシリーズでおなじみのキャラクターを任意に選択し、各場面のクリアを目指します。アクション場面では無双シリーズの特徴でもある、一対多数のバトル(一騎当千)形式で戦います。
刀剣を武器とするキャラクターでは、片手剣の勇者リンク、太刀・薙刀のハイラル王国の親衛隊隊長インパ、細剣のハイラル王国王女ゼルダ、天剣を武器とする剣の妖精ファイなどが使用できます。
RPG【幻影異聞録♯FE】(げんえいいぶんろくしゃーぷえふいー:2015年〔アトラス〕〔インテリジェントシステムズ〕開発・〔任天堂〕販売)は、アトラス(プレステの人気シリーズ「ペルソナシリーズ」など)とインテリジェントシステムズ(任天堂の人気シリーズ「ファイアーエムブレムシリーズ」)とのコラボでした。
同作では現代の東京を舞台に、歌や演技を通して芸能界で活躍を夢見る若者達が侵略者「ミラージュ」と戦います。ミラージュの目的は、異世界には存在しない夢見る若者達が放つ輝きのエネルギー「パフォーマ」の収奪です。ミラージュのなかにはプレイヤー陣に味方となる者(*ファイアーエムブレムシリーズに登場する英雄達など)もいます。プレイヤーは彼らを駆使するミラージュマスターとなり、剣と魔法で敵を倒します。
剣ではファイアーエムブレムシリーズの特徴である、剣と槍と斧・弓の三すくみの関係が導入され、敵の弱点に合わせた武器の選択が重要な要素のひとつです。
新たな三大家庭用ゲーム機の時代を迎えた2000年代、家庭用ゲーム機は据え置き型から携帯型の志向へ、ソフトもダウンロード販売の時代に入りました。国産の二大家庭用ゲーム機同士の仕様の類似も始まりました。そんな時代の刀剣が登場する家庭用ゲームでは、人気シリーズ同士のコラボもゲーム機の垣根を越えて行われました。