包丁は日常の料理に欠かせない大切な生活用品のひとつですが、一口に包丁と言っても様々な種類が存在します。そのため、包丁を購入する際、一体どんな包丁を選べばいいのか分からないというのも当たり前。包丁を選ぶ際に確認するべきポイントや、包丁の種類、素材ごとの特徴の他、はじめての包丁の選び方などを紹介します。
良い包丁とは、よく切れるだけでなく、その切れ味が長い間継続する物。
しかし、良い包丁を選ぶためにはその質や切れ味だけでなく、使い手との相性が合っているかという点も重要になるのです。
包丁を選ぶ際、特にチェックすると良いポイントは、大きく4つとされています。
- 包丁の種類が用途に合っているか
- 大きさがちょうど良い物であるか
- 刃にくぼみや刃こぼれがないか
- 刀身が曲がっていないかどうか
物を購入する際に欠けやくぼみなどがないかなど、不良品ではないのかを確認することは当然ですが、特に包丁を購入する際は、刀身が不自然に曲がっていないかを確認するのが大切。
刀身に曲がった部分があると、どれだけ優れた切れ味を持った包丁であっても食材をうまく切ることができません。刀身の曲がり具合を確認する際は、包丁の背が上に向くように手に取り、日本刀を手に取って鑑賞するときと同様に、目線に合わせて真直ぐ刀身を見るようにすると、真直ぐな刀身であるかを確認することができます。
上記にある4点の他にも、耐久性や切れ味、手入れのしやすさなどのポイントもありますが、切れ味と耐久性は反比例するもの。耐久性に優れる物は切れ味が良くないとされますが、様々な素材を組み合わせることにより、切れ味と耐久性を両立できる包丁も登場しています。
また、切れ味は刃の薄さと角度で決まるとされており、より良い切れ味を誇る包丁は値段も高い物がほとんど。包丁を選ぶ際は、これらのポイントも考えながら選ぶのがおすすめです。
家庭で普段使う包丁と、職人が普段使う包丁の選び方は違います。
例えば、家庭ではさほど多くの包丁の種類を駆使して料理をすることはほとんどありませんが、寿司職人などは、魚を捌くための包丁や、さく取りした切り身を切るための包丁、付け合わせを切るための包丁など、多様な種類の包丁を使い分けているのです。
包丁には用途や使い手によって様々な種類があるため、食材や用途に合わせてふさわしい包丁を選ぶことが大切。ここでは、用途ごとに適切な包丁を見ていきましょう。
包丁の種類には、大きく分けて洋包丁と和包丁の2種類があります。すべてが当てはまるわけではありませんが、洋包丁は肉を切るのに適した両刃、和包丁は片刃なのが特徴です。
三徳包丁は、日本の家庭で最もよく使われている包丁。
「三徳」という名前の由来は、肉・魚・野菜という3つの食材に使うことができることから付けられた万能包丁です。
日本で考案された包丁ですが、両刃であることから洋包丁に分類されます。
牛刀包丁はシェフナイフとも呼ばれる洋包丁で、西洋では万能包丁として扱われています。
本来は肉を切るための物でしたが、肉以外にも野菜やパンなど様々な物を切り分けることができます。
ペティナイフ は小型の包丁で、野菜や果物の皮むきに適した包丁です。
小型で刃先が尖っていることから、飾り切りなどにも使うことができます。
また、少し大きめのペティナイフを選べば、肉や魚などを切ることも可能です。
菜切包丁は、その名の通り野菜を切るための包丁のこと。刃が薄いことから、野菜をぶつ切りにしたり、細かく刻んだりするのに適しています。刃の先端が四角く、刀身が長方形になった特徴的な形状をしており、大きな刀身はキャベツや白菜などの大きめの野菜を切るのにちょうどいいサイズです。
出刃包丁は、魚を捌くための包丁のこと。刀身が分厚く、重量があることから、魚の頭を落としたり骨ごとぶつ切りにしたりするのに適しています。
柳刃包丁は、刺身包丁とも呼ばれる和包丁です。下ろした魚を切り身にしたり、刺身にしたりする際に用いられる包丁で、刀身が長細く、柳の葉に似ていることからこの名前で呼ばれています。
のこぎりのようにギザギザした刃を持つ洋包丁です。
ギザギザした刃は摩擦を小さくすることができ、パンを潰すことなく綺麗に切ることができます。
パンが好きで、日常的にパンを切る機会が多い人は1本持っていると良い包丁です。
中華包丁は和包丁や洋包丁とは異なり、中国で考案された包丁。
菜切包丁と同じような形をしていますが、刃が分厚く重く、骨を切ったり食材を潰したりすることができます。
主に中華料理を作る際に用いられるのが特徴です。
その他にも、骨スキ包丁や麺切包丁など、用途によって最適な包丁の種類を選ぶことができます。はじめての一人暮らしの包丁を選ぶときや、調理の初心者が包丁を選ぶ場合、様々な調理に使用できる万能な包丁の三徳包丁や牛刀包丁がおすすめ。
大きさは、三徳包丁の場合は15~18cmの物、牛刀包丁の場合は18~21cmほどの物が使いやすいとされています。
また、調理をする際に主に用いる包丁として、三徳包丁や牛刀包丁を選び、サブ包丁としてペティナイフや果物ナイフを持つなど、複数の包丁を使い分けるのもいいでしょう。
包丁は、素材によって研ぎやすさや錆びにくさ、切れ味や耐久性などのコンディションが変化します。包丁を選ぶ際には形状の種類だけではなく、使う人の性格や職業、調理方法に合わせて素材を選ぶのがおすすめ。
ステンレスを素材とする包丁は、錆びにくく手入れが簡単なのが特徴です。「ステンレス刃物鋼」は家庭用として最も一般的に使われており、調理の初心者にもおすすめの素材。
ステンレスにモリブデンとバナジウムという素材が加えられた「モリブデンバナジウム鋼」が素材となった包丁は、より錆に強く切れ味が持続しますが、刀身が硬いため、研ぎにくいというデメリットがあります。
また、ステンレス系には「コバルト合金鋼」という、鋭い切れ味とその切れ味が持続する 硬い素材でできた物もありますが、モリブデンバナジウム鋼とは違い研ぎやすい特質です。
主に和包丁の素材として使われます。鋼とは簡単に言うと不純物が取り除かれた鉄のことで、包丁が作られる際、日本刀と同様に焼き入れが施されるのが特徴。
錆びやすいですが、研ぎやすくもあり、こまめに手入れをすることで鋭い切れ味を持続させることができる素材です。
毎日包丁の手入れを欠かさないようなプロの料理人におすすめ。不純物の量や材質の配合によって黄紙、白紙、青紙の3つにランク付けされています。プロが使うような切れ味を求める方におすすめの素材です。
セラミックは金属ではないことから、軽く、錆びる心配がないのが特徴。包丁の手入れが面倒な人に向いている素材です。金属アレルギーの人でも安心して使うことができます。メリットも多いですが、割れや欠けを起こすことが多く、研ぎ直しにも向いていません。
包丁を選ぶ際は、より清潔に包丁を使うためにも、手入れ のしやすさを考えることも重要です。その際に確認するのが「口金」(くちがね)の有無。
口金とは、刃と柄を滑らかにつなげるための物で、口金がある場合、刃と柄の間に溝や段差、隙間などがないことから洗いやすく、汚れや細菌に強いメリットがあります。
また、口金がある包丁は高級包丁であることを見分けるポイントのひとつ 。最近では柄と刃が一体になったつなぎ目のない「ステンレス一体式柄」などもあります。
野菜や果物など、水分の多い食材を切った際に、包丁に切った食材がくっついて離れず、調理時のストレスになってしまうこともあるはず。
そういったストレスを軽減するために、刀身にくぼみや穴を開けるなど「刃離れ加工」が施された包丁が存在します。包丁と食材の間に空間を設けることで接地面を減らし、刃離れを良くしているのです。
また、フッ素コーティングされた包丁も、刃と食材の摩擦が軽減されるため、刃離れの良い包丁としておすすめ。フッ素コーティングされた包丁は刃離れが良いだけでなく汚れが付きにくい特長もあるため、日ごろの手入れが面倒な人におすすめです。