小さな長方形の鉄板「小札」(こざね)を1,000枚以上繋ぎ合わせて制作された鎧の一種。古墳時代中期まで使用されていた短甲(たんこう)に代わって、古墳時代後期頃から主流となった。
通説では、小札甲を身に付けていたのは豪族などの身分が高い者に限られていたと言われており、実際に小札甲は大型前方後円墳などから多く出土している。
小札甲は、その構造上、ばらばらになりやすいと言う欠点がある。そのため、実物資料に基づいた復元は非常に難しいが、パーツごとでその形状が異なっているため、鎧のどの部分にその小札が使用されていたのかを特定することが可能。
出土した小札甲のなかには、小札の裏側に平織りの布が付着しているタイプがあるため、金属が直接肌や服に接触しないように、工夫されていたと推測されている。
古墳時代から奈良時代に使用された、胴を守る丈の短い甲(よろい)。徒歩戦用で「みじかよろい」とも言われる。鉄の板を韋(かわ)でとじ、漆を塗って作られていたが、のちに韋から鋲留(びょうどめ)技法が用いられるようになった。